栗山監督目指すは攻めの野球「勝負どころはイチかバチか」

[ 2011年11月10日 06:00 ]

球団マスコット「B・B」を手に笑顔でポーズをとる栗山新監督

 日本ハムは9日、札幌市内のホテルで栗山英樹氏(50)の新監督就任を発表した。契約金3000万円、年俸7000万円の2年契約で、背番号は80。コーチ、監督の経験はなく1990年の現役引退以来の現場復帰となる栗山氏は梨田野球を踏襲しつつも自ら仕掛けていく攻撃的な野球を宣言。球団北海道移転9年目で、3年ぶりのリーグ優勝を狙う来季に向けて意気込みを見せた。

 まばゆいばかりのフラッシュに照らし出されて栗山新監督が壇上に立った。04年の北海道移転後Aクラス6度、優勝3度のチームを指導者経験なしで率いることに「怖さしかない。責任が重いことを感じる」と正直な気持ちを口にした。だが、チームの指針について話すと、その口調は次第に熱を帯びた。

 「ここ一番で勝負を仕掛けられる、ファンが見ていてワクワクするようなチームになれるはず。僕が取材をして一番いいと感じるのは精神的にも肉体的にもタフなチーム。その要素を持った選手がたくさんいるので、そこへ向かって全力を尽くしたい」

 新指揮官が目指すのは、攻撃力のアップだ。今季の日本ハムは夏場までに最大26の貯金を築きながら、9月はリーグ最低のチーム打率・218と落ち込み6勝18敗1分けで急降下した。ネット裏で取材を続けてきた栗山新監督は、歯車がかみ合わないと失速するプロ野球の難しさを痛感。積極的な仕掛けによる得点力向上こそが逆境をはね返す力になると考えた。

 「勝負どころで(相手が)120%内角に来るという場面があるでしょ。それを流すのではなくイチかバチか引っ張ることができれば」

 6日のセ・リーグCSファイナルS第5戦。ヤクルトを相手に中日・井端が0―0の6回1死一塁から決勝の左越え2ランを放った。シーズンわずか1本塁打の井端が迷わずフルスイングした一振りがシリーズにケリをつけた。栗山新監督がイメージするのは、個々の殻を打ち破るそんなポジティブな打撃だ。

 今オフは絶対エースのダルビッシュがポスティング・システム(入札制度)でメジャー移籍する可能性が高い。ドラフト1位指名の東海大・菅野の入団交渉も難航している。仮に計算できる2人が不在なら、投手力で2位に食い込んだ今季以上の苦戦は必至。「栗山流」エキサイト野球を掲げるのは必然だった。

 「自分のことはどうでもいい。少しでも選手、チームのために何をしたらいいか。どんなことがあってもブレないように、前に進みたい」

 11日に千葉・鎌ケ谷で全選手に所信表明を行う。12日からは「80」のユニホームに袖を通し、熱血指導がいよいよスタートする。

 ◆栗山 英樹(くりやま・ひでき)1961年(昭36)4月26日、東京都生まれの50歳。創価から東京学芸大を経て83年ドラフト外でヤクルト入団。巧打の外野手として88年には規定打席不足ながら自己最多の112安打で打率・331をマーク。89年はゴールデングラブ賞に輝いた。90年に29歳の若さで現役引退。通算成績は494試合で打率・279、7本塁打、67打点。右投げ両打ち。現在は野球を中心にスポーツキャスターを務める一方、08年に白鴎大で「スポーツ産業論」を専門とする専任教授に昇進。現在も教壇に立っている。

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