ダル父 現行の入札制度は怖い…有は栗山さん好き

[ 2011年11月6日 06:00 ]

日本ハム・ダルビッシュの父・ファルサさん

 日本ハム・ダルビッシュ有投手(25)の父・ファルサ氏(51)が5日、スポニチのインタビューに応じ、息子のメジャー挑戦とポスティング・システム(入札制度)に対する思いを語った。現時点で大リーグ移籍への最終決断は下していないとした上で、1球団としか交渉できないなど、現行の入札制度についての問題点も指摘。改革の必要性を訴えた。

 ――現時点で息子のメジャー行きの希望について、話をしているか。

 「まだ深くは話していないし、今はまだ何も決めていません。それに、今は大事なCSをやっていて、その後は日本シリーズがありますから。行くにしても行かないにしても、その話で(日本球界の)邪魔をしたくない。コメントしないのは当たり前です」

 ――今オフにメジャーに行くとすれば当然、入札制度を経てとなる。

 「昨年の岩隈選手がそうでした(注1)が、現状のルールでは、行くところが分からないのはもちろん、交渉がうまくいかなかったら、日本のチームに戻らなければならない。応札額の上位3チームが順番に交渉できるとか、ルールが変わることを期待していましたが、変わらなかった。父親として残念です」

 ※注1 昨オフ、楽天・岩隈はポスティングを利用したが、落札したアスレチックスとの交渉が決裂。ア軍側は落札額も含めた総額を岩隈への「評価」としたが、落札額は楽天に支払われるため、年俸面で岩隈サイドとの要求と大きな開きがあり、楽天に残留した。

 ――いずれにしても今年は制度に変更はない。

 「今年も変わらないと分かっているけど、有のためというわけでなく、今後メジャーを目指す選手のために変わってほしいと思う。交渉がうまくいかなくて戻るなんて、選手の顔が立たない。本当に、怖いんですよ」

 ――獲る側は多額の資金が必要で、行く側は移籍先を選べず、FA移籍より年俸が抑えられる。現行制度にはメジャーでも不満の声がある。

 「有も行きたい気持ちはあると思うが、リスクもある。(獲りたい球団も)予算は決まっているし、高い金額を投じても、その分年俸が抑えられれば、交渉がうまくいかない場合もある。有は恵まれていると思うが、困る選手もいる。日本でトップクラスの選手がメジャーに行って年俸が下がるケースも出てくる。(ヤンキースの)キャッシュマンさんと僕の考え方は似ている(注2)。今は日本からいい投手がたくさん出て、米国でもニーズが高まっているのに今のままでは野球界全体のレベルが上がらない。ポスティングではなく、サッカー界のように移籍金を導入するというのも一つの手だと思う」

 ※注2 キャッシュマンGMは06年オフに松坂(現レッドソックス)の争奪戦に敗れ、代わりに井川を獲得したが5年間通算で2勝。金額の分だけリスクも多く背負うため「ポスティングは嫌い」と公言する。

 ――日本ハムは、来季の監督に栗山英樹氏が就任した。

 「有はインタビューがあまり好きではありませんが、栗山さんの単独インタビューは毎年、受けている。あの人の話は深いですから、好きなんだと思う。栗山さんがオーナーに“残してくれ”と言うんじゃないですか」

 ▽ポスティング・システム(入札制度) 11月1日から翌年3月1日までの期間に、球団がコミッショナーを通じて同制度を行使する旨を米コミッショナーに通知、同事務局が30球団に選手名を公示する。獲得を望む米球団が4日以内に応札し、最高額が日本側に通知される。最高額を所属球団が受諾すれば、30日の独占交渉権が与えられる。30日以内に契約できなければ交渉権は消滅する。

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2011年11月6日のニュース