「あと1球」2度乗り越えた!カージナルス奇跡の逆王手

[ 2011年10月29日 06:00 ]

<カージナルス・レンジャーズ>11回、サヨナラ弾を放ったフリースは歓喜の輪に飛び込む

ワールドシリーズ第6戦 カージナルス10―9レンジャーズ

(10月27日 セントルイス)
 カージナルスが27日(日本時間28日)、レンジャーズとのワールドシリーズ第6戦で神がかり的な粘りを見せてサヨナラ勝ち。3勝3敗と逆王手をかけた。9、10回に2死から2点差を追いつくと、11回にデービッド・フリース内野手(28)が中越えサヨナラ本塁打を放った。「あと1球」でシリーズ敗退が決まる状態を2度も乗り越えての勝利は史上初。球史に残る粘り腰を見せたカ軍は28日(同29日)の第7戦で06年以来の世界一に挑む。
【試合結果】

 下を向かない男たちに歓喜の瞬間が待っていた。11回の先頭フリースの打球は中堅フェンスを越えた。スタンドは総立ち。ナインは優勝したかのように大はしゃぎだ。

 「みんながホームで待ち受けているのが見えて震えた。舞台は大きいけど、6歳の時とやっていることは同じ野球だと自分に言い聞かせた」

 王手をかけられた一戦でサヨナラ弾は史上4人目の快挙。ナインの手荒い祝福でフリースのユニホームは引き裂かれた。同点の5回守備で平凡な飛球を落球したが、9回2死一、二塁では1ボール2ストライクと追い込まれながら98マイル(約158キロ)速球を右越えへ同点三塁打。そして劇砲。汚名返上どころか、球史に名を残した28歳のユニホームとバットは試合後に殿堂入りが決まった。

 終始主導権を握られながら、5度追いついた。2点を追う10回も2死と追い込まれて、あと1球から追いついた。負ければ終わりの一戦で「あと1人」からの逆転勝利は3度目だが、あと1球から2度の生還はもちろん史上初。まさに「セントルイスの奇跡」だった。

 8月25日時点で10・5ゲーム差あったワイルドカード争いを最終戦で制した。地区シリーズもフィリーズに1勝2敗から逆転した。「誰も諦めなかった。活気を失わなかった」とトニー・ラルーサ監督。野手を使い果たした10回無死一、二塁、守護神モットの打順で代打ジャクソン、代打の代打ローシュと2投手を打席に送るなど、指揮官も可能性の限りを尽くして白星をもぎ取った。

 実況は「We will see you tomorrow night(またあす夜に)」と叫んだ。91年、2勝3敗で迎えた第6戦でパケット(ツインズ)がサヨナラ本塁打した時と同じフレーズだった。

 「過去を見ず、目の前に全力を尽くした。そしてあすがある」とプホルス。男たちの思いは、02年以来となる第7戦までもつれ込んだ大一番へとつながった。

 ◆デービッド・フリース 1983年4月28日、テキサス州生まれの28歳。ミズーリ州セントルイスで育ち、南アラバマ大を経て06年にドラフト9巡目でパドレス入団。07年オフにカージナルスへ移籍。今季は左手骨折も97試合出場で打率・297、10本塁打、55打点。ナ・リーグ優勝決定シリーズは3本塁打、9打点でシリーズMVP。1メートル88、100キロ。右投げ右打ち。年俸は41万6000ドル(約3160万円)。

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2011年10月29日のニュース