“下町のダル”父への感謝を胸にプロの世界へ

[ 2011年10月24日 09:00 ]

プロから高い評価を受ける吉本

 父への感謝の思いを胸に、プロの世界へと飛び込む。吉本の父・英世さん(51)は、09年9月に脳出血のため左半身がまひし、現在も後遺症が残る。「親孝行という意味でもプロに行きたい。早く投げている姿を見てもらいたいので」と強い決意を胸に秘めている。

 小1から野球を始めたのも、英世さんからグラブとバットを買い与えられたのがきっかけ。その野球少年が注目を集めたのが、高2夏の東東京大会1回戦の都科学技術戦だ。4回で10三振を奪う好投を見せ、無名の存在から一気にプロのスカウトから注目を集めるまでにのし上がった。それでもプロ入りへの確信は持てず、3年春までは大学進学を考えていたという。

 確信が持てるようになったのは、5月上旬の強豪・成田(千葉)との練習試合。14奪三振と好投し「結果を残せるようになって自信が持てるようになった」という。1メートル87の長身から繰り出す最速149キロの直球を武器にする右腕には広島、西武などが外れ1位候補に挙げ、広島の苑田聡彦スカウト部長は「素材はトップクラス。日本を代表する投手になる可能性を持っている」と評価する。

 今夏は東東京大会4回戦で敗退。甲子園出場はならなかったが「下町のダル」の評価は甲子園経験者にひけを取らない。「甲子園に出ている投手には負けたくない。どれくらいやれるか楽しみ」。吉本の大きな体には大きな夢が詰め込まれている。

 ◆吉本 祥二(よしもと・しょうじ)1993年(平5)6月26日、東京都生まれの18歳。辰沼小1年から野球を始めて投手。蒲原中では軟式野球クラブ・ブラックキラーズで3年時に都大会優勝。足立学園1年夏からベンチ入りし、2年秋からエース。今夏は東東京大会4回戦で敗退。家族は両親と兄、弟。1メートル87、78キロ。右投げ右打ち。

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2011年10月24日のニュース