斎藤 好投も涙の終戦…21年目の来季へ「まだまだ」

[ 2011年10月18日 06:00 ]

カージナルス戦で好投した後、ベンチで試合を見守るブルワーズ・斎藤

ナ・リーグ優勝決定シリーズ第6戦 ブルワーズ6-12カージナルス

(10月17日 ミルウォーキー)
 涙の終戦――。ブルワーズの斎藤隆投手(41)は16日(日本時間17日)、カージナルスとのリーグ優勝決定シリーズ第6戦に6回から登板し、2回を1安打無失点。しかしチームは大敗し、2勝4敗でワールドシリーズ進出はならなかった。3月には地元・仙台が東日本大震災で被災し、自身も故障で長期離脱するなど激闘の1年を送った斎藤。今ポストシーズンは6試合連続無失点と奮闘し、21年目となる来季に目を向けた。

 タオルで目頭を押さえても、大粒の涙は抑えられない。ロッカー前にぼう然と座っていた斎藤は、ねぎらいの言葉を掛けに来たロン・レネキー監督らと抱擁を交わすうちに男泣き。報道陣に囲まれた後も涙はあふれた。

 「言葉にならない。チャンピオンリングを持って、仙台に、みんなのもとに帰りたかった」

 後がない第6戦は、5点ビハインドの6回から登板。主砲プホルスを見逃し三振に仕留めるなど、今季最長の2回を1安打無失点で3奪三振。今ポストシーズン6試合連続無失点の力投を見せたが、逆転劇を呼び込むことはできなかった。

 「本当にいろんなことが、今年はありすぎた」。斎藤は20年目のシーズンを振り返った。キャンプ中に東日本大震災が起き、故郷の仙台が甚大な被害を受けた。「野球をしていていいのか」と心に大きな傷を負い、眠れない日々が続いた。さらに開幕直後には左太腿裏の張りで約3カ月間の長期離脱。その後も左脇腹痛など故障は続き、一時は現役引退も考えた。

 しかし、41歳の右腕を奮い立たせたのは被災者への強い思いだった。「震災があって考えさせられた。野球ってそういう生き死にじゃない」。野球ができる喜びを感じ、モットーである「一球入魂」への意識に変化が生まれた。「今まではいつ終わってもいいと思っていた。今はそれ自体がナンセンス。もっと遠くにゴール設定することも可能だと思えるようになった」。野球を楽しむという心が支えとなり復帰後の活躍につながった。

 来年は42歳。それでも野球への意欲は失っていない。「体が言うことを聞かなくなってきているのも事実。でもやめられない。悔しいんですよ、まだまだ」。流した涙は来季への肥やしとなる。

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