“ハマのダル”国吉1勝 母に「5年待って」から7カ月

[ 2011年10月5日 06:00 ]

<巨・横>7回1失点の力投でプロ初勝利を挙げた国吉

セ・リーグ 横浜4-1巨人

(10月4日 東京D)
 横浜・国吉の端正な顔立ちが崩れた。6度目の登板で手にしたプロ初勝利。仲間と初めて交わすハイタッチにも力が入った。

 「野球をやっていて良かった。去年の今ごろ、1年後の自分が初勝利できると思ってなかった」

 若さあふれる投球。「(直球が)走っていたので、押していこうと」。最大のピンチでも変わらない。1点を返された6回、なおも2死一、二塁。高橋由を迎え「打たれるなら直球しかない」と迷わず腕を振った。この日最速の147キロ直球で見逃し三振。プロ入り最長の7回を6安打1失点、さらに試合中に肘の位置が下がる悪癖を修正して無四球と制球力も光った。

 大阪府出身。1メートル95の長身に長い手足、米国人の祖父譲りの甘いマスクも加わって、入団当初はチームメートから「ダルビッシュ」と呼ばれた。小2で両親が離婚し、寂しさを紛らわすために始めたのが野球だった。小6で身長は1メートル72まで伸びた恵まれた体格。秀岳館(熊本)から入団した昨年から体重は15キロも増加。まだまだ育ち盛りなのだ。

 東日本大震災から2日後の3月13日。母・香織さんに電話をかけた。「あと5年待ってくれ。そしたら楽させてあげるから」。「まだ5年もかかるの?」と返答した香織さんだったが、内心は大人になった息子の言葉がうれしかった。その約束からわずか7カ月後に初勝利を挙げた。

 「両親と指導者に感謝です。きょうみたいにぐいぐい速球で押す投球を続けたい」。名前は日本ハムの斎藤と同じ「佑樹」。横浜には、ダルビッシュの姿をした佑ちゃんがいる。

 ◆国吉 佑樹(くによし・ゆうき)1991年(平3)9月24日、大阪府出身の20歳。中学時代は「オール枚方」に所属。熊本・秀岳館2年春からベンチ入りも甲子園出場なし。09年育成ドラフト1巡目で横浜入団。今年7月29日に支配下選手登録され、8月27日の中日戦(横浜)でプロ初先発した。1メートル95、96キロ。右投げ右打ち。

 ≪育成ドラフト出身3人目≫国吉(横)が7回1失点でプロ入り初勝利。09年育成ドラフト1巡目で横浜に入団したが、育成ドラフト出身で1軍公式戦で勝ったのは山口(巨)通算34勝、山田(ソ)同11勝に次いで3人目。巨人戦で白星を挙げたのは国吉が初めてだ。

 ≪主な球界長身選手≫

 ☆馬場正平(巨人=2メートル) 55年に入団。57年には1軍で3試合に登板したが、0勝1敗と勝利は挙げられなかった。59年に巨人を退団。プロレスに転向しジャイアント馬場として活躍した。

 ☆金石昭人(広島など=1メートル97) 78年ドラフト外で広島に入団。86年に12勝と台頭し、92年、日本ハムに移籍すると自己最多の14勝。翌年からは抑えに転向し95年には25Sを挙げた。98年巨人に移り同年限りで引退。

 ☆山沖之彦(オリックスなど=1メートル91) 81年ドラフト1位でオリックスの前身・阪急入り。真上から投げ込む独特の投法で83年奪三振王、84年最優秀救援、87年最多勝と活躍。1メートル90以上では日本人最多の112勝を挙げた。

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