第1投は5メートル…松坂近くて遠い復活への道のり

[ 2011年10月5日 06:00 ]

手術後初めてボールを投げる松坂

 はじめの一歩を踏み出した。右肘の腱移植手術(トミー・ジョン手術)から復帰を目指しているレッドソックスの松坂大輔投手(31)が3日(日本時間4日)、6月3日以来122日ぶりのキャッチボールを実施。16フィート(約5メートル)からスタートして、最後は45フィート(約14メートル)の距離まで延ばして計39球を投げた。次なる試練は新しい投球フォームの模索と球団による球数制限との戦い。来季後半戦の完全復帰を目指して、一つ一つ階段を上がっていく。

 思わず頬が緩んだ。久しぶりのこの感触――。青空が広がる晴天の下で白球を手渡された松坂は、一瞬ボールを見つめると、にやっと笑った。

 「この日が待ち遠しかった。最初の1球はどう投げていいか分からなかった。終わった後はうれしかったけど、肘が痛くなくてホッとした気持ちの方が強かったですね」

 122日ぶりのキャッチボール。約5メートルの距離で放った記念すべき第1投。指に引っかかりすぎて、構えた相手の膝元へ飛んでミットに収まった。「カメラで撮られていたので、あまり変なところに投げられないなと。1球目を投げる瞬間は一番緊張したし、どこでボールを離していいか分からなかった」。苦笑いも見せたが、その後はフォームを意識。左足を高く上げてゆっくりと肩を回し、右肘を前に出しながら腕を振り下ろす。距離が離れると、山なりに近かったボールの軌道が次第に水平になった。「80マイル(約129キロ)ぐらい出ていたのでは」の質問には噴き出しながらも「自分でも(思ったより)投げられるなと思いました」と手応えを話した。

 確かな第一歩は踏み出したが、復帰への試練はむしろこれからだ。まずは肘に負担がかからない投球フォームの模索。「大きく見た目が変わるかは分からないけど、変わると思う」。故障前は右肘を無意識にかばって自然と肘が下がり、腕の振りは横振りになっていた。シャドーピッチングでは左手にグラブもはめて、体をできるだけ大きく使う投球動作を反復している。次はグラウンドでいかに表現できるかだ。

 今後は2日に1度投げていく予定だが、距離や球数は球団から厳しい制限が設けられる。「しばらく気持ちや強度を抑えながら投げるので、ストレスはたまると思う」。この日も、トレーナーから距離を縮めるよう指示が飛んだ。自分のペースで投げられない苦痛。精神的なストレスとも向き合っていく必要がある。

 「トレーナーの中で日程は決まっていると思うので、今後の(進展は)僕の状態次第」と松坂。完全復活のマウンドをイメージし、今できることを懸命にやっていく。

 ≪トミー・ジョン手術≫損傷したじん帯を切除し、他の正常な腱の一部を移植する手術。松坂は右手首の長掌(ちょうしょう)筋の腱を移植した。74年にドジャースのトミー・ジョン投手が左肘の腱断裂時に、チームドクターだったフランク・ジョーブ博士が初めて行ったことから名付けられた。成功率は90%前後といわれ、実戦復帰には1年~1年半を要するとされる。

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