横風生かし直球をシュートに…塩見、頭脳的な投球光る

[ 2011年9月3日 06:00 ]

<ロ・楽>新人トップタイの7勝目を挙げた塩見はスタンドのファンの声援に応える

パ・リーグ 楽天6―3ロッテ

(9月2日 QVCマリン)
 ルーキー左腕は台風をも味方につけた。ロッテ戦に先発した楽天・塩見貴洋投手(22)が、QVCマリンで吹き荒れた横風を計算した頭脳的な投球を披露。右打者の外角に逃げる直球を有効に使い、新人王を争うリードオフマンの伊志嶺を4打数無安打に封じた。自身は新人では両リーグ最多タイの7勝目を手にした。

 強烈な横風も、塩見にとっては追い風だった。「意識したし、力が入った」という、伊志嶺との新人王候補対決。3回1死、空振り三振を奪ったのは外角の139キロ直球だった。5回2死でも、追い込んでから再び外角。2打席連続の空振り三振だ。左腕の最大の武器は、右打者の内角を鋭く突く「クロスファイア」。この日は逆のコースに決めた。強風を巧みに利用した微妙に動くボールで、相手打者の目先を見事に惑わした。

 「(横風が)逆に良かったし、効果的だった」と塩見。普段ならQVCマリンは、海がある中堅方向から吹く風がバックネット裏のスタンドではね返り、投手にとって向かい風になる。そのためブレーキが利く変化球が有効だ。ところが台風12号の影響で、この日は左翼方向から本塁方向への横風。それも8メートルから10メートルの強風だった。変化球は制球が難しく塩見も2回、清田にカーブで先制2ランを浴びた。

 楽天の捕手・伊志嶺は即、配球を切り替えた。球威のあった直球に比重を置きつつ、右打者のクロスファイアに加え、外角も使って両コーナーに投げ分けた。なぜか。外角球は横からの強風により、右打者から逃げるシュートのような軌道を描いたからだ。今季ここまで5打数3安打と打ち込まれていた伊志嶺を4打数無安打。打線を寸断し、対ロッテは3度目の対戦で初勝利を挙げた。これでパ・リーグ全5球団から白星。ルーキー左腕は強風を味方につけ、パ・リーグを制圧した。

 ▼ロッテ・伊志嶺(塩見は)何勝もしている投手だし、球自体がいい。それより自分が本調子ではない。(新人王を)争う相手だと思うけど、自分がやるべきことをやらないとタイトルも獲れない。

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2011年9月3日のニュース