松井 二塁打量産の秘密は飛距離よりライナー生み出す打法

[ 2011年8月28日 06:00 ]

<Rソックス・アスレチックス>4回2死一、二塁、2点適時打となる二塁打を放ち二塁へ駆ける松井

ア・リーグ アスレチックス15―5レッドソックス

(8月26日 ボストン)
 イチローより先に新「ミスターダブル」の称号を手にした。アスレチックスの松井秀喜外野手(37)が26日(日本時間27日)、レッドソックス戦に3番・左翼で先発し6打数1安打2打点。4回に中越え2点二塁打を放って日米通算487二塁打(日245、米242)とし、立浪和義(元中日)が持つプロ野球記録に並んだ。巨人時代よりも増えた二塁打数は、松井がメジャーで「ギャップヒッター」としての地位を築いたことの証明といえる。

 プロ野球記録に並んでも松井が感慨にふけることはない。日米通算487二塁打もそうだった。

 「たくさん打ってきた感じはするが、感想はあまりない。これからもたくさん打てたらいい」

 4―1で迎えた4回2死一、二塁。通算打率・200と苦手のウェークフィールドの初球、外角のナックルを真芯でとらえた。打球は弾丸ライナーで中堅フェンスを直撃し2者が生還した。

 このライナーの打球こそが二塁打量産のキーワードだ。一般的に二塁打が多い打者は「俊足巧打」のイメージが強い。だが、メジャーでは、パワーと確実性を備えた「ギャップヒッター(Gap Hitter=外野と外野の間を抜く打者)」の象徴ともいえる数字で「得点を生み出す選手」として評価が高い。

 日本では332本塁打、245二塁打だったが、メジャー移籍後は172本塁打に対して二塁打は1・4倍の242と、数字は逆転した。理由は意識の変化。7年間所属したヤンキースでは本塁打より確実性を求められた。ヤンキースタジアムは右中間と左中間が広いこともあり、ライナーで外野の間を抜くことが走者を還す一番確実な手段だった。そのためにバットをインサイドアウトに出し、強くて低い打球を打つことに重点を置いてきた。ア軍のジェラルド・ペリー打撃コーチも「二塁打は一塁走者も得点する可能性が高く、自身も得点圏に残る。松井もそれができる」と話す。

 立浪氏について「走攻守そろった高い技術を持った打者」と評した松井。9点リードの9回には04年以来自身2度目となる野手と対戦し、二ゴロに打ち取られる場面もあったが「状態はいい」と手応えを口にした。「ミスターダブル」の称号に興味はないが、勝利につながる二塁打を今後も積み上げていく。

 ≪大リーグの「ギャップヒッター」≫大リーグ歴代最多の4256安打を誇るピート・ローズ、通算3141安打のトニー・グウィンらが挙げられる。グウィンはかつて「ドアスイングでの本塁打よりも、アウトになってもインサイドアウトでのライナーの方がいい」と語ったこともある。大リーグの草創期は本塁打の概念は希薄で「ギャップヒッター」こそ強打者の証だった。

 ≪イチローを逆転≫今季開幕時はイチロー(マリナーズ)が日米通算469二塁打で、465二塁打の松井を4本リードしていたが、松井が逆転し、先にプロ野球記録に到達した。通算二塁打の大リーグ記録はトリス・スピーカーの792本で、現役最多は、イバン・ロドリゲス(ナショナルズ)の572本。松井の日米通算487本は、大リーグの現役では10位相当。デレク・ジーター(ヤンキース)が9位の488本。

 ▼立浪和義氏 松井選手と私は全くタイプが違う。私の場合はホームランが少なかった分、二塁打が増えたが、彼は500本塁打を打ち、二塁打もこれだけ打っているのだから凄い。引っ張りのイメージがあるけど広角に打てるし、打球が速いから外野の間を抜ける二塁打が多いのでしょう。でも、彼の魅力はやっぱりホームラン。本塁打もまだまだ増やしていってほしいですね。

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