4度目登板でヤクルトから初勝利!沢村丸刈り1勝

[ 2011年8月20日 06:00 ]

<巨・ヤ>本塁打の小笠原(右)をハイタッチで迎える沢村

セ・リーグ 巨人3-2ヤクルト

(8月19日 東京D)
 丸刈り1勝だ。巨人の沢村拓一投手(23)が19日のヤクルト戦で7回0/3、8安打1失点の好投。7月9日の広島戦(東京ドーム)以来の白星で、リーグ新人単独トップとなる6勝目を挙げた。チームは首位ヤクルトに5ゲーム差に詰め寄り、原辰徳監督(53)は監督通算600勝へ王手をかけた。また、8回2死から登板した久保裕也投手(31)の今季10セーブ目が、球団通算の1000セーブ目となった。

 投げる球は決めていた。7回2死二塁。3ボール1ストライクで投じた外角低め144キロの直球も武内のバットにファウルされた。逆に追い込まれた。それでもこの日の沢村は強情だった。「(自分は)直球の投手なので首を振っても直球を投げようと思った」。4球連続の直球が内角高めに決まり、見逃し三振。心地良いミットの音が響いた。

 8回無死一塁でマウンドを降りたが、試合後に阿部に借りたバリカンで頭を刈った12日の広島戦(東京ドーム)とは、気分は天と地の差だ。試合後のベンチ裏。報道陣に囲まれ、沢村がつぶやいた。「(この光景が)久しぶりですよね…」。41日ぶり、リーグ新人単独トップとなる今季6勝目に目尻を下げた。

 登板前夜、遠征先の名古屋から寮に戻り、巨人の1位指名で涙を流した昨年10月28日のドラフト会見をDVDで見た。「自分は何を求められて指名されたのか考えた。もう一度初心に戻って考えた結果、勝つことだった」。頼れるものは大学時代に最速157キロをマークした直球。3試合登板で3敗しているヤクルトを相手に90球中60球、直球を投げ込んだ。腕を振り続け、無四球の8奪三振。暗いトンネルから抜け出した。

 勝てない日々、90キロの体重は維持していたが精神状態は顔に出ていた。「ほおがこけたんで“痩せた?”ってよく聞かれるんです」。それでも周囲を気遣い明るく振る舞った。この日も「名古屋で救援陣が連投したし、どうしても完投したかった」と反省は忘れなかった。結果的に流れを変えた髪型にも「丸刈りは嫌いではない。勝てば続けますよ」と穏やかな表情を浮かべた。

 川上哲治、長嶋茂雄、水原茂に次いで球団史上4人目となる通算600勝に王手をかけた原監督も「きょうは非常に球持ちが良くて、安心して見ていた」と目を細めた。1月のスタッフ会議。春季キャンプの2軍スタートを推す声も上がる中、1軍入りを決断した原監督への恩返しは足りない。「正直勝ってナンボなんで。まだまだチームに貢献できていない」。キリッとしたまなざしに強い意志が込められていた。

 ≪6勝目は新人最多≫沢村(巨)が7回0/3を1失点で今季6勝目。セの新人では久古(ヤ)、福井(広)の5勝を抜いて最多になった。この日は8安打されたものの被本塁打は0。今季の沢村は本塁打を喫した9試合は1勝7敗(防御率3・78)だが、アーチ0の10試合は5勝2敗(防御率1・44)。一発さえ防げばもっと勝ち星が伸びそうだ。

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2011年8月20日のニュース