一挙8点で接戦にケリ!日大三 強力打線でねじ伏せた

[ 2011年8月20日 06:00 ]

<日大三・関西>7回、菅沼が3ランを放ち、一塁を回ったところでガッツポーズ。吉永(右端)らベンチも大喜び

第93回全国高校野球選手権大会準決勝 日大三14―4関西

(8月19日 甲子園)
 準決勝2試合が行われ、日大三(西東京)は7回に6番・菅沼賢一二塁手(3年)の3ランなどで一挙8点を奪うなど打線が爆発。5試合連続の2桁安打となる16安打で、関西(岡山)に14―4で圧勝した。今春のセンバツはベスト4止まりだったが、伝統の強打は健在。10年ぶり2度目の夏制覇を目指し、作新学院(栃木)に5―0で完封勝ちした光星学院(青森)と20日の決勝戦で雌雄を決する。
【試合結果】

 雨上がりの湿った空気を、日大三打線が生み出す快音が吹き飛ばした。7回だ。1死一、二塁から菅沼が外角高めの138キロを強振。理想とする日本ハム・二岡をほうふつさせる逆方向への打球はぐんぐん伸びて、右中間最深部へ突き刺さる120メートル弾となった。

 6回まで1―1の重苦しい展開から一転、打者12人で一挙8点奪取の猛打ショーを締めくくる3ラン。スタンドの観衆がどよめく中でダイヤモンドを一周した菅沼は「思い切って振り抜くことを意識した。打線もつながっていたので、本塁打が出て良かった」と晴れやかな笑みを浮かべた。

 5試合連続の2桁16安打で14点。終盤の2イニングだけで11安打13点と圧巻の猛打は、選手の積極性から生まれる。早めに追い込みたい投手心理を読み、特に走者のいる場面ではファーストストライクを狙い打つ。7回1死満塁で勝ち越し右前打を放った金子は、1ボールからの2球目。畔上の二塁失策を誘った痛烈な打球、横尾の左前2点打はいずれも初球だ。相手投手に立ち直る隙を与えず、一気にのみ込む。小倉全由監督は「積極的に振った結果」。菅沼も「監督からは甘い球を積極的に打て、という指示でした」と笑顔で振り返った。

 そこに小倉監督の打撃理論がスパイスとして加わる。フォームは自由だが、共通項は「強くひっぱたけ!」の1点のみ。選手も貪欲に実践する。寮とドア一つで行き来できる室内練習場に設置された打撃マシンは3台。朝晩の自主トレの時間帯には、ジャンケンで奪い合い。主力組が食事をしている際には、メンバー外の選手がここぞとばかりに打ち込む。3安打4打点で、大会通算打率・579の4番・横尾が「自主トレをやらない選手はいない」と言うほどの猛練習。指揮官の教えは全身に染みついている。

 01年の初優勝時は、当時の大会記録を塗り替えるチーム打率・427と打ちまくった。6試合連続2桁安打となれば史上4校目の快挙だ。「打ち負けないようにしたい」と菅沼。その強打で、10年ぶりの栄冠をつかみ取る。

 ≪今大会通算打率・402≫日大三が5試合連続2桁となる16安打で、1回戦に続き14得点の猛攻。今大会通算打率を・402、安打を68本とした。夏のチーム最高打率は、04年優勝の駒大苫小牧の・448(5試合174打数78安打)。01年優勝時の日大三は打率・427(6試合211打数90安打)で、当時の大会記録を更新している。また大会チーム最多安打は、00年に優勝した智弁和歌山の100本。猛打の日大三がこれらの記録にどこまで近づけるか。

 ▼日大三・高山(8回1死二塁で左越え2ラン)何も考えずに振ったら、たまたまいってくれた。考えすぎずに振った方がいいというのが分かった。

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2011年8月20日のニュース