作新49年ぶり4強!“ID強行策”で9回逆転

[ 2011年8月19日 06:00 ]

<智弁学園・作新学院>準決勝進出を決め、応援席へ駆けだす作新学院ナイン

第93回全国高校選手権大会準々決勝 作新学院7―6智弁学園

(8月18日 甲子園)
 ベンチもアルプス席も信じていた。必ず逆転できる、と。作新学院は1点を追う9回。無死から1番・石井が右前打で出る。打席の作新学院・板崎主将の耳の奥に、小針崇宏監督の言葉が残っていた。

 「バントはない。打って行くぞ」――。同点を狙うなら送りバントが定石。だが、新たな歴史をつくるナインにセオリーはない。強攻だ。「進塁打も考えない。ただ、ヒットでつなごうと」。142キロの外角直球を右前へ運び、逆転への流れをつくった。無死一、二塁。同じく強攻を指示された佐藤も中前への同点打で続く。1死後、5番・内藤がスクイズを外されても執念でファウルし、決勝の右犠飛を放った。

 「バントは勢いを止めてしまう。選手に任せようと思った」。28歳の青年、小針監督は爽やかに笑うが、一見無謀な強攻策の裏には確かな戦略もあった。作新学院から進んだ筑波大で試合のデータを分析し、野球を研究した成果を駆使。9回のような場面は、バントで送ると同点止まりの確率が高い。継投で投手をほぼ使い切っており、一気に逆転するため打って出たのだ。強攻策を「任せた」板崎主将は自身の高校時代と同じ2番・二塁で主将。しかも誕生日まで同じ6月22日という、まさに分身だった。

 「スタンドと一体で攻め切れた。チームが一つになっている」と板崎主将。今年3月、春日部共栄(埼玉)との練習試合に3―16で大敗し、失点の10倍の160本のダッシュを泣きながらこなした。1、2年生主体のチームに3年生の自覚が生まれ、小針監督は「(9回に活躍した)2番から5番まで3年生。精神力が違う」と言った。

 49年前は堅い守りで春夏連覇した。それ以来の夏の4強。今夏は強気の攻めで頂点を獲る。

 ▼作新学院・佐藤(9回に中前同点打)監督からおまえが一番の打者だからバントしないと言われ、気持ちで打った。

 ▼作新学院・内藤(9回に決勝右犠飛)最後に5番らしい仕事ができて良かった。スクイズを外されたが、気持ちを切り替えて打ちました。

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