坂本勝負強さ見せた!巨人3連勝貯金1で2位浮上

[ 2011年8月17日 06:00 ]

<中・巨>中日に勝利し、ハイタッチする坂本(中央)ら巨人ナイン

セ・リーグ 巨人3-2中日

(8月16日 ナゴヤD)
 巨人が16日の中日戦を制し、3連勝で2位浮上を決めた。5月21日以来、87日ぶりに貯金も1。坂本勇人内野手(22)が2回に放った左中間への2点適時二塁打が勝負を決めた。今季のナゴヤドームは4試合6打点目と頼もしい。15日に巨人を創設した故正力松太郎氏の長男で、球団の隆盛に尽力した正力亨名誉オーナーが92歳で逝去。大事な一戦で新時代の若きスラッガーが、チームを救った。
【試合結果】

 坂本のひと振りが2位浮上をもたらした。2回、1点を先制して、なお無死満塁。ネルソンの148キロの高めの直球を、腰の入ったスイングではじき返した。左中間への2点二塁打。派手なガッツポーズの代わりに二塁ベース上で見せた涼しげな視線が、かえって頼もしさを際立たせた。

 「何とかもう1点という気持ちで打席に入った。流れに乗っていきました。センター方向を意識したことがいい結果につながった」

 2人の「恩師」にバットでの御礼だ。試合前の打撃練習では原監督から、ステップして腰を回す際に、へそが上を向き腰が伸び上がるような動きを修正された。2回の打撃はへそがやや下向きのまま腰が回り、下っ腹に力が入ったスイング。低いライナーで伸び中堅の左をあっという間に抜けた打球がその証だった。

 7月31日のヤクルト戦(神宮)での緩慢なプレーで懲罰交代。連続フルイニング出場が225試合で途切れた上、指揮官から「レギュラーに置いておくにふさわしくない」と厳しい言葉も浴びた。翌8月1日の休養日
には東京ドームに呼び出され、マンツーマンの打撃練習。リーグトップの得点圏打率・414を誇る勝負強さも復活し「(坂本なら)突き放しても1回くらいは起き上がってくる」と期待した指揮官に応えてみせた。

 もう1人の「恩師」には手痛い返礼だ。全セの指揮を執った落合監督に7月24日の球宴第3戦(Kスタ宮城)の練習中、「坂本!」と声をかけられた。約5分間の打撃談議には「打席での心構えとかです。こんなに近くで話したのは初めて」と感激した。この日の2打点で、今季はナゴヤドーム4試合で6打点。「なんでかな」と相性の良さに首をかしげたが、助言の効果を敵将に痛いくらいに実感させた。

 自らは夏の甲子園出場はならなかったが、光星学院3年の06年センバツに出場。今大会では後輩が8強入りを果たし「刺激になる?そうですね」と話した。17日に4強入りをかけての東洋大姫路との対戦へ、激励の一打だった。

 前日、正力亨名誉オーナーが逝去。東日本大震災の犠牲者のためチームが左袖に着けた喪章に新たな意味が加わった。3連勝で5月21日以来の貯金生活。阪神が敗れ、4月21日以来4カ月ぶりの2位に浮上した。ここ30試合を19勝9敗2分けの快進撃で、最大8ゲーム差があった首位ヤクルトとは4・5ゲーム差。17日に勝ってヤクルトが敗れれば、自力優勝の可能性も復活する。原監督は「まだまだこれからですよ。貯金なんてできていない」と手綱を緩めなかったが、頼もしい1番打者がもたらした1勝は大きい。

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