智弁学園エースにソフトBスカウト「投打ともに素材はA級」

[ 2011年8月13日 11:55 ]

第93回全国高校野球選手権大会2回戦 智弁学園2-1鶴岡東

(8月12日 甲子園)
 2年生エースは最後まで冷静だった。奈良大会5試合で大会新記録の10本塁打を放ち45得点を挙げた打線が、この日は2得点と不発。「先に点を取られてはいけない」。智弁学園先発・青山は頭の中でつぶやきながら力投した。直球は自己最速を2キロ更新する146キロをマーク。緊張の聖地初登板で底力を発揮した。

 「緊張で力みすぎてしまい、思ったような投球ができませんでしたが、悪いなりに投げきることができてよかった」。ピンチにも動じなかった。2点を先制した直後の5回1死二塁、9番・佐藤のカウント1ボール2ストライクからボークをとられた。1死三塁とされ佐藤には右前適時打を浴びた。それでも顔色一つ変えずに「仕方ない」と切り替えた。後続を断ち、流れを渡さなかった。

 “伝家の宝刀”を抜かないまま、完投した。小3から野球を始め、初めて覚えた変化球がフォーク。本人が「三振もストライクも取れる球」と確固たる自信を持つ球種だが、この試合では1球も投じなかった。「フォークを使えば楽だったと思いますが、投げませんでした。次(3回戦)のことも考えて投げることができました」。最後の打者への決め球にも捕手・中道からフォークのサインが出たが、首を振りチェンジアップで二ゴロ。余力を残しての1失点完投だった。

 2年生ながら、来年を見据え早くもプロが熱視線を送る逸材。投手としてだけでなく4回1死二塁から中前に先制適時打を放った打撃面でも評価が高い。ソフトバンク・若井スカウトは「投打ともに素材はA級。足も速い」とうなずいた。

 「次からも一戦一戦、大事に戦っていきたいです」。これでチームは夏の初戦は“10連勝”。若きエースが“夏の智弁”の原動力となる。

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2011年8月13日のニュース