ダルえぐった14K!今季5度目の完封で2・5差

[ 2011年8月13日 06:00 ]

<日・ソ>5回2死、細川を三振に打ち取ったダルビッシュはほえる

パ・リーグ 日本ハム4-0ソフトバンク

(8月12日 札幌D)
 やられたらやり返す――。それがダル流だ。日本ハムのダルビッシュ有投手(24)は12日、ソフトバンクとの首位攻防戦に先発し、今季5度目の完封。6連続を含む14奪三振でハーラー独走の15勝目を挙げた。7月30日の前回対戦(ヤフードーム)ではコツコツと当ててくる打撃の前に黒星を喫したが、この日は徹底的に内角を突いてリベンジ。13連戦の真っただ中でエースが一人で投げ抜き、首位に2・5ゲーム差に迫った。
【試合結果】

 大胆に内角を攻めた。右、左打者構わず懐を思い切りえぐった。前回対戦で約1カ月半ぶりの黒星を喫したダルビッシュが博多の借りを本拠地・札幌で返した。

 「左右ともインコースを突けた。試合が始まったら(前回と)同じような打撃をしてくる気配があったので…。でもあの投球じゃそういうことできないでしょ」

 初回。2番・本多を3球連続の内角球で三ゴロに打ち取ると、続く内川にもツーシーム、151キロ直球と内角を意識させ、154キロ直球で見逃し三振に仕留めた。圧巻は4回1死の松田から6回先頭の川崎までの6者連続三振。9回には松田を153キロで空振りさせるなど、14三振を奪った。5安打完封には「きょうは中継ぎの皆さんから投げたくないオーラが出ていたので」と冗談めかした。2位ホールトン(ソフトバンク)に4差をつけるハーラー断トツの15勝目。エースは「ここまで勝つと意識はなくなる」とサラリと話した。

 前回対戦。ソフトバンクは松中、小久保らの重量打線がファウルで粘り、外角球は徹底して中堅方向に打ち返す戦略を取ってきた。試合後「もっとブンブン振ってきてほしい」と言ったダルビッシュは、この日は相手が小細工できないような厳しい内角攻め。そしてカウントを追い込むと「逆手に取れたと思う」と今度は外角に変化球を投げ、三振の山を築いた。

 2年ぶりの優勝へ絶対落とせない一戦に気合も半端じゃなかった。「今まではそんなに使わなかったけど、きょうはインコースを使ってビシッといきたかった」。勝負に徹した投球に、吉井投手コーチも「ナイスピッチングというより凄みのある投球。解説できない」とうなるしかなかった。

 無尽蔵のスタミナに「右の内角へのツーシームはほぼ完璧」と胸を張る多彩な投球術。夏場を迎えても球威、切れとも全く落ちる気配がない。「疲れを超えるトレーニングをしてきたんで全然しんどくない」。13連戦の真っただ中での首位攻防戦。これぞエース、これぞ球界最高峰右腕の投球だった。

 ▼日本ハム・鶴岡 内角を多めにお願いします、と言われた。逆球がいつもは多いけど、きょうはほぼなし。右打者は打てる球がなかった。この前負けた悔しさもあったと思うけど、最初から最後まで気合が入っていた。

 ▼日本ハム・芝草投手コーチ 外角の直球が素晴らしかった。内角のツーシームを投げることで、直球が効果的になっていた。

 ▼日本ハム・梨田監督 さすがだね。中5日の割には、状態も良かったし、気持ち的にも気合が入っていた。野手が移動、中継ぎ陣が連投でへばっている中、本当によく1人で投げてくれたと思う。

 ◆ダルビッシュの前回ソフトバンク戦 7月30日(ヤフードーム)に杉内とエース対決。1―1の8回1死二、三塁から小久保に決勝2点中前適時打を浴び、2―3で敗れて3敗目(13勝)を喫した。ともに2桁奪三振を記録して完投。試合後、ソフトバンク打線について「汚いというか、嫌らしい野球だった。上位打線もファウルで粘って、いい野球をするなと思った。もっとブンブン振ってきてほしかった」と語った。

 ≪通算90勝!歴代4位のスピード到達≫ダルビッシュ(日)が今季5度目の完封で15勝目を挙げ、通算90勝に到達。157試合目での90勝は、スタルヒン(巨)143試合、藤本英雄(中)148試合、上原浩治(巨)156試合に次ぐスピードだ。また、シーズン15勝以上は07~09年(15、16、15勝)以来自身4度目で、西口(西)、杉内(ソ)とともに現役最多タイ。チームでは土橋正幸6度、米川泰夫5度に次ぎ、尾崎行雄、金田留広(4人とも東映時代)に並ぶ記録になった。この日は4~6回に、3度目の自己最多タイとなる6者連続奪三振。合計14三振で2桁奪三振を通算47度目とし、再び杉内(ソ)と歴代5位で並んだ。

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