2試合30Kも…歳内“特別な夏”早すぎる終幕

[ 2011年8月13日 06:00 ]

<聖光学院・金沢>2回戦で敗れ、涙を流す歳内

第93回全国高校野球選手権大会2回戦 聖光学院2-4金沢

(8月12日 甲子園)
 福島代表の聖光学院・歳内(さいうち)宏明投手(3年)が、毎回の14三振を奪いながら金沢(石川)に2―4で敗退。宝刀スプリットを武器に2試合計30奪三振の快投も2回戦で姿を消した。これで東日本大震災で被害が大きかった岩手、宮城、福島3県の代表校全てが甲子園を去った。春夏計5度の全国制覇を誇る横浜(神奈川)は、高崎健康福祉大高崎(群馬)を振り切ってサヨナラ勝ち。明豊(大分)、智弁学園(奈良)、金沢(石川)が3回戦に駒を進めた。

  みちのくの怪腕の特別な夏が終わった。涙雨か――。ゲームセットの瞬間、聖地に細かい雨粒が落ちてきた。被災地の思いも背負って投げ込んだ131球。4失点も毎回の14三振を奪った。鋭く落ちるスプリットを操り2戦で計30奪三振も勝利の女神はほほ笑んでくれなかった。

 「何が起きているのか分からない。次の試合がないことだけは分かる。(被災地の思いを)背負うと言ってきた。チームのみんなにも、福島の人にも申し訳ないです」

 1回戦で打球を受けた右手は一時指が曲がらず、ボールが握れなかったほど。それでも「金沢戦の後に指がどうなってもいい」と2日前に投球練習を再開。状態は完璧ではない中で、152キロ腕、釜田に挑んだ。直球とスプリットを駆使して2回1死からは6者連続三振も奪ったが、6回に崩れた。内野に照明がともされた直後のこの回に味方の失策から1死三塁として2安打を浴びて逆転を許した。8回にも失策絡みで1―4。3失策全てが失点に絡んだが、一切言い訳はしなかった。「エラーは仕方ない。それを抑えるのがエース」と歳内は涙を流しながら自分を責めた。

 福島は東日本大震災による東京電力福島第1原発事故の影響にいまだ苦しんでいる。地元の思いを背負って乗り込んだ2度目の甲子園で歳内はじめナインは力を出し切った。斎藤智也監督は「こんなに早く福島に帰らなきゃいけないのは残念」と無念さをにじませる一方で「歳内は魂込めて投げた。言い訳をしないというプライドがあった」と賛辞を贈った。

 グラウンドを去る聖光学院ナインには大きな拍手が注がれた。歳内が投じた特別な夏の280球は、被災地に勇気を届けたと同時に、若き右腕のさらなる成長を感じさせるものだった。

 ≪斎藤VSマー君以来!≫聖光学院・歳内が14K、金沢・釜田が10Kでともに1回戦に続く2桁奪三振。2試合連続の2桁奪三振は昨年Vの興南・島袋が2、3回戦でマークして以来。投げ合った投手が同じ試合で達成するのは、06年決勝戦で早実・斎藤と駒大苫小牧・田中がともに3試合連続で達成して以来となった。歳内は2試合計30奪三振。2試合で30奪三振以上は、05年に大阪桐蔭・辻内が2、3回戦で計31三振を奪って以来。

 ◆歳内 宏明(さいうち・ひろあき)1993年(平5)7月19日、兵庫県尼崎市生まれの18歳。小園小―小園中。小学3年から野球を始める。楽天・田中らを輩出した宝塚ボーイズでは主将。聖光学院では昨夏甲子園からエース。球種はスプリット、カーブ、スライダー、シンカー、チェンジアップ。最速145キロ。家族は両親、妹、弟。1メートル82、82キロ。右投げ右打ち。

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