「攻めダルマ」原監督、執念の采配で勝利もぎ取った

＜横・巨＞山口の暴投の間に鈴木（左）が生還、出迎える原監督ら巨人ベンチ

セ・リーグ 巨人７－６横浜

（8月9日 長野）
　執念の采配だった。次の回に入らない規定の３時間３０分まで残り２０分。最後の攻撃になる可能性がある中、巨人・原監督が動いた。同点の９回２死無走者。小笠原が四球で出塁すると、代走に送った鈴木に初球から盗塁のサインを出した。

　「待て」の指示が出ていなかったラミレスは積極的に打ちに出て、打球は一、二塁間の奥への二塁内野安打。鈴木は迷いなく三塁へ滑り込んだ。俊足の走者が三塁に。相手バッテリーにプレッシャーを与え、最後は２死満塁から暴投で決勝点が転がり込んできた。

　「それぞれが最善の中で力を出せば、相手も苦しくなる。それが最後の暴投を引き出したのかもしれない」。指揮官は興奮気味に振り返った。

　まさに「攻めダルマ」。超攻撃的采配にスタンドもどよめいた。同点の５回無死一塁。犠打が定石ともいえる場面で、坂本はバントの構えから打ちに出た。バスターで中前打。藤村も続いた。「サインが出てもできるように準備はしていた」。坂本同様に、猛烈なチャージを掛けてきた一塁手・中村の左を抜く鮮やかなバスターで右前打。まさに攻撃こそ最大の防御だ。その象徴ともいえる２者連続バスター成功に、原監督も「一発で決めてくれたね」と喜んだ。

　前半戦終了時、指揮官は「チームとして３０％くらいしか燃焼していない。後半戦は残り７０％をしっかり燃焼する」と話していた。今季初の６連勝にも「まだ燃焼してないでしょう」。もっともっと熱く。トップギアを入れるのはこれからだ。