聖光の「さいとうゆうき」兄そして亡き母に日本一を!

[ 2011年8月3日 06:00 ]

亡き母にささげる全国制覇を誓う3年生の斉藤侑希

 第93回全国高校野球選手権大会(6日から15日間、甲子園)の出場校による甲子園練習第3日が2日、行われた。東日本大震災による原発事故で深刻な被害を受けた福島県代表の聖光学院は日本ハム・斎藤佑樹投手(23)と姓名とも同じ読みとなる「さいとうゆうき」が3人在籍。その中の1人、斉藤侑希内野手(3年)は、昨年1月に亡くした母と福島にささげる初の日本一を誓った。また、組み合わせ抽選会は3日に大阪市の大阪国際会議場で行われ、3回戦までの組み合わせが決まる。

 聖光学院のユウちゃんが本家同様にチームを日本一へと導く。投内連係などで甲子園のグラウンドの感触を確かめた斉藤は「(名前は)そんなに言われることもないし、そんなに意識はしていません。チームが勝てるように頑張りたい」と力を込めた。

 背番号4をつけて甲子園に立つ雄姿をどうしても見せたかった人がいる。昨年1月に子宮がんで亡くなった母・由江さん(享年41)だ。遺品を整理していた中で見つけたのが「侑希なら必ず甲子園に行けるから。頑張ってね」と記された手紙。抗がん剤治療を続けながら08、09年に聖光学院の二塁手として甲子園に出場した兄・晃平さん(東北福祉大2年)のプレーはアルプス席から見届けたが、斉藤が背番号14をつけた昨夏の甲子園にその姿はなかった。「晃平と同じ4番をつけてるところを見たい」という母の願いはかなわなかったが、アルプス席から見守る母の遺影の前で、背番号4をつけて甲子園で活躍する番だ。

 甲子園入りする前には、兄からの思いも受け継いだ。晃平さんが甲子園に出場した08年は8強、09年は初戦敗退と日本一の夢は果たせなかった。甲子園入りする直前の7月30日には、晃平さんが甲子園で使用していた帽子を父・拓也さん(43)から受け取った。帽子のつばに書かれてあるのは「天下統一」。母、そして兄の思いを胸に刻んでこの大舞台に立つ。

 福島県勢の最高成績は71年の磐城の準優勝。「お母さんはどこかで見守っていてくれているはずだから、成長した姿を見せたい」。母の死、震災を乗り越えた斉藤侑希が福島県勢初の日本一へと導く。

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2011年8月3日のニュース