高田さあ出陣!さまざまな支援に勝って恩返しだ

[ 2011年7月16日 06:00 ]

練習後にトンボでグラウンド整備する高田の佐々木監督

 たくさんの感謝を胸に、迎えた夏。この日、高田高校は盛岡市内で午前10時から2時間、ノックやフリー打撃など軽めの調整で初戦に備えた。

 「本当にいろんな人に助けられて、ついにここまできたね」。佐々木監督は、選手と一緒にグラウンド整備をしながら震災後の混乱を思い返した。選手全員の安否が確認できた4月下旬、初の全体練習を第2グラウンドで行った。しかしその日、仮設住宅建設のため測量を行う建設業者の姿が見えた。「やっぱりショックだったよね」。第2グラウンドでの練習は、その日が最後となった。

 練習場所の確保もままならない失意の中、交流のある岩手・伊保内(いぼない)から合宿支援の申し出があった。5月上旬の4泊5日の遠征は、伊保内がある九戸村の岩部茂村長自らが激励に訪れた。佐々木監督は「温泉にも漬からせてもらってね。本当にしんどい時だったから、精神的に助けられた」と振り返る。

 6月には群馬・桐生商の支援を受け、2泊3日の遠征を行った。その際には野球関係者が参拝に訪れることで知られる妙義山・中之嶽神社の野球御守を贈られた。以前から交流のある秋田南から贈られた手縫いのお守りも、佐々木監督は自身のカバンにつけている。「こんなにたくさんつけると、お守り同士が喧嘩(けんか)しちゃうかな」と笑いながら「いろんな思いをもらってね、やっぱり勝つことが一番の恩返しだよね」とお守りを大事そうに見つめた。

 ≪マネジャーから手縫いのお守り≫高田高校ナインにはマネジャーから勝利への願いを込めた手縫いのお守りが送られた。塩口和(のどか)さん(2年)と千葉茜さん(2年)は、ベンチ入り選手20人分のお守りを作製。塩口さんは「わたし、不器用なんです」とはにかみながら、蒸し暑い部室で一針ごと丁寧に縫い上げた。完成したお守りは、開会式前日の13日の練習後に渡した。千葉さんは「照れくさくて素っ気なく渡しちゃった」と笑ったが、2人の思いも野球部の大きな力になる。

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