福島から転校エース、金井・岡田 1失点完投で劇勝呼ぶ

[ 2011年7月13日 06:00 ]

神奈川大会1回戦 金井2―1港北

(7月12日 保土ケ谷)
 金井のエース岡田が終始笑顔だったのは勝ったからだけではなかった。「幸せだなあと思って投げました」。福島第1原発事故で緊急時避難準備地区にある原町高から4月に転校。すぐに背番号1を手にした右腕は1失点完投で逆転サヨナラ勝ちを呼び込み、5年ぶりの初戦突破に導いた。

 「最後はベンチで祈っていました。勝って良かった。緊張せず、楽しくできました」

 東日本大震災後、原町高に野球道具を取りに行った際に同校が遺体安置所になっていることに大きなショックを受けたという。実家のある福島県南相馬市から、母や妹と一緒に横浜市内の親類宅に転居。「1カ月間、何も運動をしていなかったし、自分が入っても迷惑をかける」。一時は野球をやめる決意を固めていたが、級友から誘われて野球部に入部した。

 「自分をすんなり受け入れてくれた最高の仲間とまだ試合ができるのがうれしい。きょうで少しは恩返しできたかな。今は野球をやめなくて本当に良かったと思います」。そう話す愛息をスタンドから見守った母・信子さん(48)も「野球ができる喜びを感じていると思うし、本当に良かった」と目を細めた。

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2011年7月13日のニュース