柴田高・佐藤主将 宣誓で「野球ができる感謝と喜びを」

[ 2011年7月9日 10:48 ]

全国高校野球選手権大会宮城大会の開会式で、選手宣誓する柴田高校の佐藤裕次主将

全国高校野球選手権大会宮城大会開会式

(7月9日 Kスタ宮城)
 梅雨の合間の晴れた空に力強い選手宣誓が響いた。夏の甲子園大会出場を懸けた宮城大会の開会式で、柴田高の佐藤裕次主将(18)が言葉に込めたメッセージは、野球ができることへの感謝と喜びだった。「普通に生活できていたことがどれだけ幸せだったか、あらためて実感している」と宮城の球児の思いを代弁した。

 柴田高での練習中に被災した。内陸部の同校は無事だったが、沿岸部の亘理町にある自宅は津波で大きな被害を受けた。近くの中学校に避難していた両親とは数日間連絡が取れず、一緒に暮らせるようになったのは1週間後。その間は、知人宅の車の中で寝泊まりした。

 海に近接する自宅は波にさらわれて土台を残すのみ。しまってあった試合用のユニホームは流され、手元に残ったのは部室にあったグラブとスパイクだけだった。「人は支え合い、協力し合うことで希望を見いだし、未来へ進むと信じている」。この日着用したのは卒業した先輩に借りたユニホームという。周囲の協力を得て、グラウンドに立てる喜びをかみしめる。

 小雪舞う春先の被災の記憶は消しようがないが、季節は確実に回る。佐藤主将は「いつまでも下を向いていては、何も変わりません」と力を込めた。白球に希望を乗せた球児の夏が始まった。

続きを表示

2011年7月9日のニュース