イチロー 守備妨害すれすれ走塁が勝利呼ぶ

[ 2011年7月7日 06:00 ]

<アスレチックス・マリナーズ)>10回、ライアンの二ゴロで二封されるも、スライディングで遊撃手ペニントン(中央)の悪送球を誘い併殺を崩すイチロー

ア・リーグ マリナーズ4-2アスレチックス

(7月5日 オークランド)
 マリナーズのイチロー外野手(37)が5日(日本時間6日)のアスレチックス戦で、捨て身の走塁を見せて白星を呼び込んだ。同点の延長10回、一塁走者として併殺阻止の猛スライディング。さらに送球コースを遮るかのように、右手を上げる守備妨害すれすれのプレーで悪送球を誘って決勝点をもぎ取った。バットでも3試合連続マルチ安打と上昇気配。一方のア軍・松井秀喜外野手(37)は3打数無安打に終わった。

 延長戦勝利に沸くクラブハウス。イチローも珍しく興奮冷めやらぬ様子だった。

 「きょうの場合は延長に入って、どうしても1点が欲しいところですから。少なくとも併殺は取らせない形にしないと。なかなか年間に何回もあるプレーではない」

 延長10回1死一、二塁で二塁正面のゴロ。一塁走者のイチローは、二塁ベースカバーに入った遊撃手ペニントンの足元へ激しく滑り込んだ。「ショートの位置がどこなのか。それを見ながらですけどね。誰がショートでもそりゃ何かしなきゃいけないでしょ」。ただ滑り込むだけではない。隠し味は右手を上げながらのスライディング。送球コースをふさがれた形となったペニントンの一塁送球は左に大きくそれ、二塁走者が一気に生還。これが決勝点となった。

 昨年8月25日のレッドソックス戦では同じ状況で守備妨害を取られた。当時は「そこまでする必要はなかった」と振り返ったが、今回は右手を真上ではなく斜めに差し出した。審判の目にはスライディングの一連の動作として映ったはずだ。本人も「送球が当たったら戻されちゃうからね。それはやれないから。それはもうどこのラインで、まああそこのせめぎ合いだわね」と守備妨害すれすれの攻防を暗に認めた。

 エリク・ウェッジ監督は「ヘイ、よくやってくれたよな!」とイチローを大喜びで迎えると「激しく攻撃的なプレーだった」と称えた。打っても3戦連続マルチ安打で3連勝に貢献して、チームは再び勝率5割に復帰。華麗さだけではない。背番号51の泥臭い、体を張った走塁がチームに弾みをつけた。

続きを表示

2011年7月7日のニュース