チーム状況を象徴する勝負所での“安全策”

[ 2011年7月6日 06:00 ]

<ヤ・巨>7回1死三塁、宮本の打球を脇谷が本塁に投げられず同点にされる

セ・リーグ 巨人4―5ヤクルト

(7月5日 草薙)
 本塁返球を待っていた巨人・阿部は立ち尽くしていた。1点リードの7回の守備だ。1死三塁で巨人内野陣は1点もやれない前進守備隊形を敷いた。宮本の三ゴロは三塁線へ。球足の速いゴロを逆シングルで好捕した脇谷だったが、本塁ではなく一塁へ送球。アウトは増やしたが同点を許した。イチかバチかの本塁送球ができなかった。

 「いろいろな選択肢があるなかで一塁に投げました」。脇谷は言葉少なに振り返った。勝呂内野守備走塁コーチは「走者の走路とキャッチャーへのラインが重なってしまった。キャッチャーの顔だけでも見えていたらそのまま投げられたと思う」と本塁送球できなった理由を説明した。

 走者の三輪は三塁線のやや内側を走っていた。その背中で脇谷の送球ラインは消された。それでも1点もやらない意図での前進守備。わずかな可能性を求めて走者のほんの少し横をめがけて送球する勝負の選択もある。「投げていれば」の思いが残ったプレーとなったが、波に乗れないチーム状況がミス覚悟の勝負に出ることをちゅうちょさせた。

 「いいスタートを切られたと言えばそれまでですけど、無理という判断だったのでしょうね」。言葉を選んだ原監督だったが、声のトーンには「勝負してほしかった」の思いがにじんでいた。

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2011年7月6日のニュース