ダル13K 視察レンジャーズ首脳陣に見せつけた!

[ 2011年6月25日 06:00 ]

<ソ・日>8回13三振を奪い9勝目を挙げたダルビッシュ

パ・リーグ 日本ハム3―1ソフトバンク

(6月24日 ヤフーD)
 これが日本のエースの実力だ。セ、パのリーグ戦が24日に再開され、日本ハム・ダルビッシュ有投手(24)がソフトバンク戦に先発。8回1失点、13奪三振の快投を披露した。同戦には今オフの同投手のポスティング・システム(入札制度)でのメジャー移籍に備え、昨季球団初のア・リーグ覇者に輝いたレンジャーズのジョン・ダニエルズGM(33)が視察。その前で、三振の山を築いた。またプロ初の5番に起用された中田翔外野手(22)が8回に決勝の適時二塁打。ダルビッシュに両リーグトップタイの9勝目をプレゼントした。
【試合結果】

 バックネット裏でダルビッシュの投球を視察していたレンジャーズのダニエルズGM。8回2死三塁の場面で同行していたスカウトが慌ててスピードガンを取り出した。

 球数は120球を超えている。投手として肉体的にも精神的にも一番苦しいところ。ところが、日本が誇る右腕はここで驚くべき投球を見せつけた。3番・松田に4球連続直球。スライダーを1球挟んで、最後も直球で左飛に打ち取った。この対決で投げ込んだ直球は全て150キロ超え。4球目はこの日最速153キロをマークした。

 「きょうは制球が悪かった。(球種も)直球、ツーシーム、あとはカーブしか使えなかった。苦しんだといえばちょっと苦しんだかな」。それでも8回を1点でしのいだのは、120キロ台の速いカーブが要所で生きたからだった。

 川崎、本多、松中、長谷川――。左の好打者が並ぶソフトバンク打線から13三振を奪った。「自分ではそんなに取っている気はしなかったが、カーブにメドがついた。右腕の位置を少し下げてから良くなった。(一番良かった頃の)4年前に投げていたカーブに戻ってきた。左打者の三振は速いカーブがほとんど」

 カウントを稼ぐのに有効な100キロ前後の緩いカーブとは別に、ダルビッシュは左打者の膝元から120キロ台で落とすカーブも有する。同点の7回2死三塁で中村を3球三振に仕留めたウイニングショットもこれだった。右腕の振りを従来より下げることで斜めに強いスピンをボールに与え、曲がり幅の大きいものに再改良。打者にとっては縦に落ちるスライダーのように突如視界から消える魔球と化した。

 ダルビッシュ自身は「全然関係ない」と話すにとどまったが、大リーグ球団のGMがシーズン中に来日するのは極めて異例のこと。A・J・プレラー・プロスカウト部長とマウンドに熱視線を送り続けたダニエルズGMは試合後「何も話せない」と球場を後にしたが、その表情には満足感が漂った。レ軍本拠地のテキサス州アーリントンは夏場は気温が40度近くになる。投手には過酷な環境だが、試合終盤に球速150キロ台を連発するタフマンなら心配も無用だ。

 仮に今オフ、右腕がポスティング・システムを利用しての米移籍を希望すれば、日本ハム側としては話し合いには応じる用意はある。絶対エースの注目度は海の向こうでますます高まっていく。

 ◆ジョン・ダニエルズ 1977年8月24日、ニューヨーク州生まれの33歳。99年にコーネル大卒業。ロッキーズの球団職員を経て、03年10月にレンジャーズの編成部長、04年7月に同GM補佐、05年10月に28歳41日の史上最年少でGMに就任した。現在も30球団のGM最年少。昨年はレ軍を創設50年目で初のリーグ優勝に導き、ベースボール・アメリカ誌の最優秀フロントに選出。

 ≪2桁奪三振44度は歴代7位≫ダルビッシュ(日)が8回1失点で9勝目。この日は13三振を奪ったが、今季2桁奪三振は6月8日中日戦から3試合連続で6度目。通算では44度目となり鈴木啓(近鉄)の43度を抜き歴代単独7位に進出。また4回松中から三振を奪い、両リーグトップを切って100奪三振をマーク。88イニングでの100奪三振は昨年の92イニングを上回る自己最速ペースだ。ダルビッシュは07年210、08年208、10年222とシーズン200奪三振以上を3度記録。チームで3度は他に土橋がいるだけ。現在のペースなら球団記録をあっさり塗り替えそうだ。

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