野球選手がレコード発売…どうして流行?

[ 2011年6月14日 15:21 ]

王貞治「白いボール」(79年 コロムビア)

 なぜ当時、野球選手がレコードを出すことが流行したのか。70~90年代レコードなどのネット通販「たゆねの音盤堂」細川敏彦オーナー(48)は「当時は大衆の娯楽として、野球を見るファン、音楽を聴くファンの年齢層が一致していた」と分析する。歌謡曲の黄金期で、音楽はいわば「大人の趣味」だった。野球選手の多くがムード歌謡、演歌などを歌ったのも、その層を意識してのことだ。また「ジャケット写真にも魅力があった。今も額に入れている人もいます」。ビデオなどがなかった当時、選手の姿を見るのは試合中継がほとんど。ブロマイドなどと同様の感覚で、原監督のLPにもポスターなどが特典でついていた。

 しかし時代はレコード盤からCDへ。かつては「シングル盤など2000~3000枚売れば元が取れる、などということもあった」(同)という。それがバブル期に入り「ばく大に宣伝し、大量に売る」時代に。採算ラインに合わない個性的なジャンルは淘汰(とうた)されるようになった。「多様性がなくなってしまいました。大人の遊びというか、そういう余裕のあるいい時代だった。みんなそう言います」。昭和の最後の名残ともいえる野球選手のレコード。その後、CDで再販されているものもあるが「いまだにレコードの根強いファンは多い」(同)という。

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2011年6月14日のニュース