高津に並んだ!岩瀬 日本タイ通算286セーブ

[ 2011年6月13日 06:00 ]

<楽・中>通算セーブのプロ野球記録に並んだ岩瀬はドアラと一緒に花束を掲げ笑顔

交流戦 中日5―2楽天

(6月12日 Kスタ宮城)
 鉄腕守護神が球史にその名を刻んだ。中日の岩瀬仁紀投手(36)が12日、楽天戦で9回を3人で抑え、通算286セーブ目をマーク。元ヤクルト・高津臣吾投手(現BCリーグ新潟)の持つプロ野球記録に並んだ。04年から抑えに本格的に転向後、8年目でのスピード達成。ほぼ救援一筋で歩んできた男が、前人未到の300セーブを目指す。

 最後は伝家の宝刀スライダーだった。3点差の9回2死、内村を見逃し三振。通算286個目のセーブでプロ野球記録に並んだ岩瀬は控えめに笑った。今季は防御率4点台と苦しんでいただけに「やっと納得できる球が投げられた」。その言葉は本心だった。

 通算704試合に登板し、先発は1試合だけ。重圧の中で結果を出し続けてきた守護神の原点は、プロ初登板にあった。99年4月2日の広島との開幕戦(ナゴヤドーム)。2番手で登板した新人は3連打を浴び1死も取れずマウンドを降りた。

 「あの試合でアウト1つ取るのがいかに難しいのかを味わった。その重みを凄く感じながら、ここまでやってきた」

 目立つのが苦手で、プレッシャーに強い方ではない。250セーブが懸かっていた昨年6月7日の西武戦では家族や知人をナゴヤドームに招待したが、3失点で救援失敗。今回は誰も招待せず、いつものように黙々と3つのアウトを取った。ウイニングボールは「もらったので記念に持って帰る」。飾り気のない性格は、球界を代表する抑えとなっても変わらない。

 疲れや失敗は翌日に引きずらない。若い頃は真っ暗な部屋で寝るのが好きだったが、今はアニメ「ワンピース」のDVDを見ながらベッドに入る。「暗いといろいろ考えちゃうから」。験担ぎをしない左腕の数少ないルーティンとなっている。

 大記録に並んだこの日の敵将は、中日入団時の恩師・星野監督。「そういう意味でもきょう決められて良かった」。新記録樹立は時間の問題だが、左腕にとってはただの通過点だ。「これで落ち着いちゃいけない。また一つ一つ積み重ねていきたいですね」。岩瀬は前人未到の領域へ歩みを進める。

 ◆岩瀬 仁紀(いわせ・ひとき)1974年(昭49)11月10日、愛知県生まれの36歳。愛知・西尾東から、愛知大、NTT東海(当時)を経て99年にドラフト2位で中日に入団。1年目から中継ぎとして優勝に貢献。最優秀中継ぎ投手賞を3度獲得。04年から抑えに転向し、翌年にプロ野球記録のシーズン46セーブを達成。昨季まで史上初の6年連続30セーブ以上を記録し、05、06、09、10年に最多セーブに輝いた。1メートル81、85キロ。左投げ左打ち。

続きを表示

2011年6月13日のニュース