福島 30キロ圏内高校が大会初出場 完敗に「これが実力」

[ 2011年6月3日 17:43 ]

 福島第1原発の半径30キロ圏内にあり、圏外の他校施設で授業を受ける「サテライト方式」を余儀なくされた高校などが出場する春季相双地区高校野球選手権大会が3日、福島県伊達市のほばら大泉球場で開幕した。東日本大震災後、30キロ圏内の学校が高校野球の大会に出場するのは初めて。

 青空の下、この日は1回戦3試合を実施。第2試合には立ち入り禁止の警戒区域内にある浪江高が登場した。同校では震災の影響で4人が転校したが、残った部員15人は2カ所あるサテライト校のうち、全員が一緒に野球をやるため同じ学校を選択。5月上旬に練習を再開して試合に臨んだ。

 しかし、0―12で相馬高に完敗。紺野勇樹監督(29)は「これが実力」と言い訳しなかったが、「早く(浪江高に)戻って練習させてあげたい」と無念そうに話した。

 部員の約半分は今も避難所生活が続き、自宅から学校に通える選手は誰もいない。避難所の旅館の一室を借りてほかの部員3人と共同生活を送る佐藤大悟主将(17)は「終わった後、いい高校野球生活だったと言えるよう、後悔しないようにやりたい」と話した。

 部員の約半数の14人が転校した双葉高は相馬東高に6―3で勝利し、校歌を球場に響かせた。

 転校が相次ぐなどして部員が減少した3校による「相双連合チーム」は出場を見合わせた。

((了)(H)(06)110603 173917

 【編注】▽紺野勇樹(こんの・ゆうき)▽佐藤大悟(さとう・だいご)

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2011年6月3日のニュース