6タコ、全裸男…イチロー劇勝も笑えない“珍事”

[ 2011年5月30日 06:00 ]

<マリナーズ・ヤンキース>サヨナラ勝ちし、歓喜の輪に加わるマリナーズのイチロー(右から2人目)

ア・リーグ マリナーズ5-4ヤンキース

(5月28日 シアトル)
 マリナーズは28日(日本時間29日)のヤンキース戦で、延長12回に劇的なサヨナラ勝ちを収め、4月3日以来の貯金1とした。全裸の男性ファンを含めて計4度も観客のグラウンド乱入があるなど、異様な空気に包まれた試合でイチロー外野手(37)は大リーグ通算8度目となる6打数無安打に終わった。5月の月間打率は・213まで落ち込み、上昇ムード漂うチームとは対照的な打撃が続いている。

 イチローはサヨナラ勝ちに沸くクラブハウスで、すぐに着替えを済ませると球場を後にした。安打製造機にとって6打数無安打は08年8月13日以来3年ぶりの屈辱。得点も打点も出塁も全てなし。チームとともに勝利を祝うことはなかった。

 「正直に言うと数字のことは頭にはない。それは今までと明らかに違う。10年(連続200安打を)やって、そんなに意識しなくてもいい権利を得たというか、そういう価値観がある」

 そう話したのは打率・328の4月終了時だった。しかし微調整の4月を終え、状態が上がるはずの5月。昨年まで通算・363と最も得意な月で今季ここまで・213。6打席全てでタイミングを外され、当てにいった打撃となった打球に力はなかった。06年8月の・233を下回る月間最低打率のピンチだ。

 イチローの異変に呼応したかのように、球場でも珍事が起きた。計4度、別々の男性が観客席からグラウンドに乱入。8回表2死の投手交代時は、右翼席から乱入した男性が中堅定位置付近に集まっていたイチローら外野3人に走り寄り、目の前で警備員に押さえられた。警察官は「2人は経験があるが4人は初めて。こんな狂った夜はないよ。みんなが酒に飲まれていた」とあきれたほど。セーフコ・フィールドに隣接するNFLシーホークスの本拠でMLS(メジャーリーグサッカー)の試合が午後1時から行われ、泥酔したファンがヤ軍戦をそのまま観戦したことが要因だった。

 12回1死満塁で守護神リベラからサヨナラ中前打を放ったケネディは「少しクレイジーな試合だったね」。エリク・ウェッジ監督は「みんなが自分の仕事をした」として2位浮上に観客の乱入も笑い飛ばす余裕があった。勢いづくチームに乗り遅れるわけにはいかない。イチローの打撃復活なくして、今後の首位争いを勝ち抜くことはできない。

 ≪4度めの完全凡退≫イチローが1試合で立った打席の最多は04年6月24日レンジャーズ戦の9打席。7打席以上を過去18度記録しているが、7打数以上無安打はなく、6打数無安打がワースト記録となる。6打数無安打はこれで8度目となったが得点、打点、四死球のない完全なる凡退は、今回で4度目だ。

 ◆イチローとファン乱入 これまでにも数回のファン乱入劇を体験しているイチローだが、07年7月28日のアスレチックス戦(シアトル)ではファンに抱きつかれた。8回1死一塁の投手交代時に中堅付近で外野陣で話し合っていた際、乱入した男性ファンにハグを求められ、最後まで慌てることなく対処した。試合後は「ちょっと怖かったけど、選手としたらどうやってあそこで盛り上げるかを考えないといけない」と語った。

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