横川スタメン起用に応えた10回V打!星野監督古巣討ち

[ 2011年5月29日 06:00 ]

<楽・神>10回、楽天の横川(中央)はサヨナラタイムリーを放ち、ナインから手荒い祝福を受ける

交流戦 楽天3-2阪神

(5月28日 Kスタ宮城)
 一塁ベースを回った楽天・横川に、チームメートの手や足が飛んでくる。プロ5年目で自身初のサヨナラ打。「ユニホームがボロボロになるので、蹴飛ばさないでほしいですよ。もっと褒めてください」。この日から4試合着用するレインボーカラーの交流戦限定ユニホームを身にまとった仲間の手荒い祝福を気持ち良さそうに味わった。

 首脳陣の期待に応えた。阪神先発は左腕・能見。昨季12勝を挙げたが、右打者の被打率・222に対して左打者は・329だった。田淵ヘッド兼打撃コーチは「能見は右打者に対して外に落ちる球があるから」と説明し、セオリーに反して左の横川をスタメン起用した。第1打席に左中間二塁打を放つと、6回は先頭で右前打。一時逆転となる内村の2点適時打の足がかりをつくった。そして、延長10回1死二塁。一打サヨナラの場面でも「ずっといい感じで打席に入れていたので」と、同じ左腕・榎田の直球をとらえて試合を決めた。

 チーム随一のスイングスピードを持ちながら、1軍に定着できずに5年目を迎えた。過去2年間の1軍出場は計9試合。今季から就任した田淵コーチも能力の高さを認めながらも、貪欲さに欠く姿勢を嘆いていた。途中出場した25日の横浜戦(草薙)は3打数無安打。消極的な内容に「チャンスをつかみにいけ!」と猛ゲキを飛ばした。だが、この日は4打席中3打席でファーストストライクをスイング。積極的な姿勢で結果を出した。

 古巣・阪神との公式戦初対決を劇的な勝利で飾った星野監督も「実績のない選手がアピールするのはいい」と賛辞を惜しまなかった。チームは連敗を3でストップ。「伝統ある球団にサヨナラ勝利。勢いをつけないといけない」。古巣から挙げた1勝を浮上のきっかけにする。

 ◆横川 史学(よこがわ・ふみのり)1984年(昭59)12月3日、千葉県生まれの26歳。中学時代は陸上部に所属。常総学院では2年春のセンバツで優勝。3年夏は3回戦で明徳義塾(高知)に敗退。青学大では3年春から4番を務め、3季連続リーグV。05、06年の日米大学野球、06年の世界大学野球のメンバーに選出された。06年大学・社会人ドラフト4巡目で楽天入団。1メートル86、90キロ。右投げ左打ち。

 ▽星野監督の阪神時代 中日監督退任直後の01年オフに就任し、1年目の02年は4位。同年オフに広島・金本がFA移籍。レンジャーズを自由契約となった伊良部や、日本ハムとのトレードで下柳を獲得するなど投打の大型補強を敢行した。03年は4月中旬から首位を独走し、9月15日の広島戦(甲子園)で18年ぶりのリーグV。日本シリーズはダイエーに3勝4敗で敗れ、終了後に「健康上の理由」での勇退を発表した。

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