2敗目も…由規、故郷に思い伝えた122球

[ 2011年5月21日 06:00 ]

<楽・ヤ>田中の投球をベンチ前から見る由規

交流戦 ヤクルト1-2楽天

(5月20日 Kスタ宮城)
 成長の足跡は残した。ヤクルト・由規が東日本大震災以来、初めて踏んだ故郷の地。「使命」と言い切った3年連続3度目の凱旋登板は、122球の力投も8回2失点で今季2敗目となった。

 「とにかく勝利をプレゼントしたかった。残念です。でも身内の“由規、頑張れ”という声が聞こえた。今までなら冷静さがないから聞こえなかった」

 東日本大震災では、仙台育英でバッテリーを組んだ1学年上の先輩、斎藤泉さん(享年22)を亡くした。その家族を招待した大一番。1点リードの初回は気負いが裏目に出た。2四球と安打で1死満塁とされ、中村の左犠飛で同点。荒木チーフ兼投手コーチに「力むな」と諭された2回以降は最速155キロをマークして安定した投球を見せた。しかし7回。1死二塁で鉄平への直球が甘く入り、勝ち越しの左越え二塁打を浴びた。

 Kスタ宮城(当時フルスタ宮城)では06年夏、当時2年生だった由規は斎藤さんとバッテリーを組んで宮城大会史上初の決勝再試合を戦った。「思い切って投げてこい」。そう言ってくれた斎藤さんは、由規の剛速球を受けるために150~160キロに設定した打撃マシンで捕球練習を積んだという。凱旋の地は斎藤さんとの思い出の場所。それだけに何としてもこの試合だけはものにしたかったがかなわなかった。

 楽天・田中との投げ合いはこれで1勝2敗。「田中さんと投げ合えることで成長できる。ピンチの時に三振が取れるし、早めに追い込むのは見習わなければ」。チームは連敗を喫し、使命は果たせなかったかもしれない。それでも21歳右腕は、さまざまな思いを背負ってこれからも投げ続ける。

 ▼ヤクルト・荒木チーフ兼投手コーチ 今回の登板は由規にとって試練だったが、彼を成長させてくれるもの。今回勝てなかったのは1つ上の先輩が与えてくれた試練かもしれない。「まだまだ」と言っているのかもしれない。

 ≪斎藤泉さんの両親、スタンドからエール≫斎藤泉さんの父・匡(ただし)さん(64)が石巻市から応援に訪れた。母・さき子さん(57)、次姉・雅美さん(28)は仙台育英のユニホームを着た泉さんの写真を持参。匡さんは試合前に神社で必勝祈願し、泉さんにも「違う世界から応援してくれ」と心の中で話しかけたという。楽天・田中との投げ合いについて「今後も間違いなく対戦するライバル同士。そういう試合をしていってほしい」とエールを送った。由規の家族も総出で訪れ、父・均さん(50)は「あの時(06年夏の宮城大会決勝)よりは成長している」と懐かしいマウンドで投げる息子の雄姿を見守った。

 ◆06年夏宮城大会決勝史上初の延長引き分け再試合 仙台育英―東北のライバル校同士の対戦。フルスタ宮城(現Kスタ宮城)で7月31日、仙台育英の2年生エース由規は延長14回まで1安打に抑え、延長15回は2死満塁のピンチを切り抜けて0―0。226球を投げきって完投した由規は、翌8月1日の再試合でも連投。仙台育英は2回1死二、三塁から斎藤泉が先制スクイズ。6―2で勝ち、由規は7安打2失点で148球完投。5年ぶり19度目の夏の甲子園出場を決めて、鉄腕と話題になった。

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