避難生活の山田高野球部員、初戦敗退も「夏は必ず勝利」

[ 2011年5月19日 18:03 ]

夏の大会は必ず勝ちたいと話す県立山田高野球部の菊地由樹君(左)と千代川知君

 震災で大きな被害を受けた沿岸部にある岩手県の山田高(山田町)、釜石商工(釜石市)、宮古高(宮古市)の野球部が19日、同県花巻市であった春の高校野球県大会に出場した。山田高は18人の部員の半数が被災、今も避難生活を送る部員も。試合に敗れ、悔しさをにじませた選手たちは「夏は必ず勝ちたい」と誓った。

 山田高の二塁手の菊地由樹君(17)と三塁手の千代川知君(17)の3年生2人は約350人の被災者とともに、同校の体育館で避難生活を続けている。ともに家族は無事だったが、町内の自宅は津波で流された。誕生日が同じで、幼稚園、中学が一緒だった2人は互いに励まし合ってきた。

 避難所では、食事の後片付けや支援物資の運搬を手伝った。「お年寄りが多いので、自分らがやらなければと思った」と菊地くん。ボランティアの三田地諭さん(62)は「率先して力を貸してくれた」と振り返る。

 グラウンドには自衛隊のテントが張られ、避難者の駐車場にもなっており、バッティング練習は満足にできなかった。試合用のユニホームも流され、先輩から譲り受けて試合に臨んだ。

 一関学院高校との試合は2人ともヒットを打ったが、7―0で七回コールド負け。千代川君は「できる限りのことはしてきたが、まだまだ足りなかった」。高校生活で最後となる夏の大会に向け、菊地君は「夏は地元に良い報告をしたい」と話した。

 続く試合では釜石商工と宮古高の被災地にある高校同士が対戦、釜石商工が延長戦の末、勝った。

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2011年5月19日のニュース