1番小笠原!3番坂本!原采配で連敗、最下位脱出

[ 2011年5月13日 06:00 ]

<巨・横>横浜に勝利し、マウンドでハイタッチする小笠原(中央)ら巨人ナイン

セ・リーグ 巨人2-1横浜

(5月12日 東京D)
 巨人・小笠原道大内野手(37)が12日の横浜戦で、日本ハム時代の01年10月2日ロッテ戦(千葉マリン)以来、実に10年ぶりの1番で先発出場した。
【試合結果 勝敗表 】

 初回にいきなり左中間フェンス直撃の二塁打を放つと、プロ初のクリーンアップに座った3番・坂本勇人内野手(22)が先制適時二塁打。極度の不振に陥る小笠原をリードオフマンに起用した原辰徳監督(52)の大胆な打線のテコ入れ策が奏功し、チームの連敗は3でストップ。最下位から一気に3位に浮上した。

 意地もあった。プライドもあった。試合前の先発オーダー発表。「1番、小笠原」とのアナウンスが流れると場内は大きなどよめきに包まれた。その中での初回。10年ぶりの1番に座った小笠原がバットに思いを乗せた。

 「新鮮な気持ちで打席に立てた。真っさらな気持ち。初回にああいう形で点が入って良かった」

 1ボール1ストライクからの3球目。真ん中低めのシュートをフルスイングすると打球は左中間フェンス直撃の二塁打。続く谷の遊ゴロで三塁を奪う積極走塁を見せ、坂本の左越え二塁打で先制のホームを踏んだ。

 チームが最下位に転落した前日。原監督は、打率・183と低迷する3番打者に対して「相手の術中にはまるガッツ(小笠原の愛称)の打撃で勢いが遮断されている」と珍しく名指しで苦言を呈した。そしてこの日の練習前に1番での起用を通達。「今のチームにとっての最善策。打順が変わってもやることは変わらない」との言葉を添えた。

 開幕から続く不振。残り11本としていた通算2000安打に、17試合、72打席を要して達成したが、記録の重圧から解き放たれても調子は上がらなかった。上体が前のめりになり、本来の打撃ポイントまで引きつけることができない。体が開き、外角に沈む変化球にことごとくバットは空を切り、前日も3三振を喫した。自宅で口にする米やミネラルウオーターは銘柄が決まっており、横を向いて物を見るのは体のバランスに悪いと、食卓ではテレビの正面を指定席とする頑固な小笠原。それだけに、打順変更による精神面が心配されたが、1番に起用されたことで自らの信念を思い出した。「まずは振り切ること。それをやめると、野手の間に打球が落ちたり、間を抜けたりする確率が落ちる」――。4回にも2死一塁から右前打を放った。前日の指揮官の発言には「当たり前のこと。期待に応えられない中で我慢して使ってくれている」と話した。

 その小笠原に代わって公式戦初の3番に入り、初回に先制打を放った坂本は「いい形でつないでくれたので何とか還したかった」と振り返った。岡崎ヘッドコーチは「坂本が3番なら、チームもファンもガッツも納得するはずと思った」。5年目の若武者の存在も、小笠原の1番を後押しした。

 小笠原にけん引されたチームは、連敗を3でストップ。「過ぎた日は帰ってこないし、少しずつ取り返したい」。小笠原が打って白星をつかんだことで、ベンチの空気は軽くなった。

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