マエケン完調6回1失点 3勝目お預けも…

[ 2011年5月9日 06:00 ]

<ヤ・広>3回2死三塁、前田健は田中浩を空振りの三振にしとめガッツポーズ

セ・リーグ 広島3―3ヤクルト

(5月8日 松山)
 力強い完調宣言だ。広島・前田健太投手(23)が松山で同率首位・ヤクルトを相手に6回1失点の好投。打球を右くるぶしに当てた影響で98球での降板となったが、復調の手応えをつかみ取った。エース降板後の7回に追いつかれて今季3度目の引き分けとなったが、首位はキープ。好調先発陣に加え、マエケンの本領が戻ってきたとあれば、今後の戦いにこれほど心強いことはない。

 痛めた右足を気にするそぶりを見せず、エースは胸を張って帰りのバスへと歩を進めた。

 「まだまだ完璧ではない。でも投げていてモヤモヤがなくなってきました。まだ1回。これがこれからも続くようなら、納得できると思う」

 チームを勝利に導けなかった悔しさは残る。だが、チームの結果とは別に、自身の投球内容には手応えが残った。昨年の沢村賞投手が「あるべき姿」を思い出してきた。

 アクシデントにも動じなかった。3回無死、川端の打球が右足くるぶし付近に直撃。苦悶(くもん)の表情を浮かべ、一時はベンチへと戻ったが、エースは患部にテーピングを施して再びマウンドへ戻ってきた。「ゲーム中は痛みを感じなかった」。最速149キロの直球にスライダー、カーブなどを効果的に交えてヤクルト打線に長打を許さない。5回1死一、三塁から内野ゴロで1点は失ったが、続く2死二塁の場面では畠山を144キロ外角直球で3球三振に封じた。

 「きょうは今までで一番良かった。感覚も良かったと思います」。右足の状態を考慮され、6回98球での降板。今季3勝目こそならなかったが、試合をつくり、先発としての役目を果たした。

 初めての経験も刺激材料だった。ヤクルト先発・増渕とは1988年生まれの同い年。赤ヘルのエースにとってはプロ5年目、通算70試合目の先発で初の同学年対決となった。「楽しめたと言えば、楽しめました。負けたくない意識はあります」。7日の練習前にはお互い、談笑する姿もあった。だが仲がいいだけに、試合となれば、闘争心は人一倍燃え上がる。7回途中3失点の増渕に対し、6回1失点と数字的には上回った。

 大野投手チーフコーチは安定感を評価した。「アクシデントがあって、代わってもおかしくないケース。それでもあそこまで投げてくれた」。本調子のエースが戻ってくる。単独首位をうかがうう赤ヘル軍団のチーム状態は、まさに右肩上がりだ。

 ▼広島・梅津(1点差に迫られた7回2死一、三塁の場面で暴投)絶対抑えてやろうという気持ちがあって、力みすぎた。

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