中13日先発のメッセンジャー粘投、今季初勝利

[ 2011年5月1日 06:00 ]

<神・ヤ>今季初勝利で福原(右)とハイタッチをするメッセンジャー

セ・リーグ 阪神6―2ヤクルト

(4月30日 甲子園)
 お立ち台から誇らしげに歓喜の声を上げた。5回2/3を2失点で待望の今季初勝利。阪神・メッセンジャーが我慢の投球で、猛虎へ流れを引き寄せた。

 「最高のファンの前で1勝できて、すごく気持ちいいよ!」

 序盤からピンチの連続だった。初回に2安打で1点を先制されると、5-1の4回には無死満塁のピンチ。「1点はしょうがない」と観念したが、バレンティンを浅い中飛に仕留めると、続く宮本を147キロ外角ストレートで投ゴロ併殺に斬ってとった。「あそこは自信のあるベストボールを選択したよ」。試合の大きな分岐点を、興奮気味に振り返った。

 前回登板予定だった23日の横浜戦が雨天中止。中13日という難しい調整を強いられたが、心が折れることはなかった。シーズン開幕から数日後のある日。神戸市内の自宅でアメリカのESPNを見ていると、あるドキュメンタリー番組に目を奪われた。

 そこには、事故で義足になりながらも、再びマウンドへ上がった1人の高校生が映し出されていた。絶望のふちからはい上がり、野球ができる喜び…。いつしかその姿を自分に置き換え、熱い感情がこみ上げてきた。

 「心に届いたね。野球をできることは自分の特権。自分も感謝しながら野球に取り組みたい」

 8安打を浴びながら2失点で踏ん張れたのも、秘めたる思いがあったからこそだろう。分厚い層を誇る阪神先発陣にあって、生き残るには結果を出し続けるしかない。来日2年目。昨季終盤に先発としての適性を見いだされた助っ人が、まずまずの滑り出しを見せている。

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2011年5月1日のニュース