がれきの中から思い出の写真が…岩手の避難所で中畑氏絶句

[ 2011年4月26日 09:09 ]

岩手県大槌町を訪れ、ダルビッシュや斎藤のサイン色紙を被災地の子供たちに配る中畑氏

 スポニチ本紙評論家の中畑清氏(57)が25日、元巨人コーチの篠塚和典氏(53)、タレントの松村邦洋(43)らと東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手県大槌町の避難所を訪れた。中畑氏を待っていたのは、1枚の写真。自衛隊員ががれきの中から見つけた写真の中に、同氏が92年に当地で野球教室を開いたときの集合写真があったのだ。

 約300人の被災者が避難生活を続ける大槌町中央公民館内の城山体育館。松村のノムさん(野村克也氏)や西田敏行のものまねで笑いが起きる会場で、中畑氏に1枚の写真が届けられた。92年に同じ体育館で撮った集合写真だ。

 手渡したのは、東京からやってきて、写真プロジェクトと子供の支援を担当しているボランティアの山本輪さん(29)。自衛隊員ががれきの山から探し出した数万枚の写真を整理していて「きょう見つかったんです」という。中畑氏は中央に写っている自分を確認して「私にとって記念の写真が、がれきの中から…」と言って絶句した。

 早朝6時に東京都調布市の自宅を出て篠塚氏と交代でハンドルを握り、車を北へ走らせた。3月末に帰った故郷の福島県矢吹町を通り過ぎてさらに北へ。7時間を超える運転を続け、大槌町へたどり着いた。昨年8月、家族旅行で訪れた町は変わり果てていた。大津波にのまれ、火災に焦がれた町。加藤宏暉町長をはじめ、32人の町職員が帰らぬ人となった。25日現在、711人の死亡が確認され、いまだに1000人近い行方不明者がいる。友人の演歌歌手「みち乃く兄弟」が当地出身という関係で縁が生まれ、何度も訪れている。

 「あのきれいだった海が…。言葉が出てこないよ」。桜が九分咲きになったこの日、大槌町内の小、中学校では遅い入学式が行われた。その中、中畑氏は吉里吉里(きりきり)小学校で町内の3つの少年野球チームに野球道具をプレゼント。昭和28年生まれの野球人でつくる「28会」のメンバー、日本ハム・梨田昌孝監督から提供されたダルビッシュや斎藤のサイン入りTシャツ、色紙を賞品としてじゃんけん大会で盛り上がった。

 「皆さんに元気を与えるつもりで来たけど、逆に皆さんから元気をもらいました。復興は必ずできます。一緒に頑張りましょう」

 震災で亡くなった知人が眠る寺院も含めて町内5カ所を回った。中畑氏の記念の写真はサインとともに避難所に展示されることになった。

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