松坂、崖っ縁から1安打快投!「やっと楽しめた」

[ 2011年4月20日 06:00 ]

<レッドソックス・ブルージェイズ>4回1死、アダム・リンドの打球を好捕した左翼手に手を上げて礼を言う松坂大輔

ア・リーグ レッドソックス9―1ブルージェイズ

(4月18日 ボストン)
 レッドソックスの松坂大輔投手(30)が18日(日本時間19日)のブルージェイズ戦で7回1安打無失点。今季3度目の先発で初勝利を挙げた。過去2試合は防御率12・86の乱調で、米メディアから放出論が噴出していたが、二塁も踏ませない快投で答えを出した。技術面の修正に加え、精神力の強さも証明。この試合で日米通算2000投球回も達成した松坂にようやく笑顔が戻った。

 大ブーイングと交代を歓迎する拍手を受けた屈辱のKOから1週間。快投でスタンディングオベーションに変えた。松坂は松坂大輔であるため、野球と向き合った。

 松坂 体がいい状態にあるのに結果を出せない。日本の時から含めても経験がないことだった。きょうが駄目だったら次はないという気持ちはあったが、最後は自分を信じることだけ。人事を尽くして天命を待つの心境だった。

 松坂は「早く修正点を明確にすること」から始めた。KOからわずか1時間後。試合中にもかかわらず、投球フォームの映像で欠点を洗い出した。下半身が使えず、腕が横振りになっていた。ブルペン投球に加え、連日のキャッチボールで修正。マウンドに立った時には「頭はクリアになっていた」と話した。

 過去2試合でわずか1球だった93マイル(約150キロ)以上の速球は9球。21アウト中、飛球で14アウトを奪った。球威で押し込めていたから、中盤以降は、カットボール、ツーシームで打者のタイミングを外せた。

 技術を立て直し、自分を信じる。だが、それだけではない。崖っ縁の登板で、松坂は「捨てる勇気」を持っていた。

 松坂 三塁ベンチには(ブ軍監督の)ジョン・ファレルがいた。ストレートチェンジは彼に聞いた球種だし、軌道は分かっている。きょうはサークルチェンジでいきました。スライダーにも固執はしなかった。

 従来のサークルチェンジよりも球速が速く、フォークのように縦に落ちるストレートチェンジは昨年終盤に、当時のファレル投手コーチから教わり、こだわっていた球種だったが、今季試合で投げていない旧チェンジアップで緩急をつけた。そして「自分の生命線」と話すスライダーも、制球がつかないと判断し、減らした。使える球でシンプルに戦った。

 松坂 ようやく先発としてのスタートが切れた。でも、僕はこの投球を続けなければ、信頼は得られない。

 5回を投げ終えた時点で日米通算2000投球回を達成した。積み上げてきたものが多ければ、マウンドでの取捨選択はより難しくなる。「本当に野球は難しい。でも、やっと楽しめた」と松坂は最後に笑った。

 ▼レ軍テリー・フランコナ監督 四球が1つだけというのは大歓迎だ。交代は前回が47球だったので、いきなり増やすことはやめた。

 ≪日米2000投球回達成≫松坂が5回終了時点で日米通算2000投球回に到達した。日本で204試合、1402回2/3、大リーグで101試合、599回1/3で到達した。日本では84人がマーク。日米通算では野茂英雄、吉井理人、石井一久、黒田博樹らが到達している。また、松坂の勝利は昨年9月2日オリオールズ戦以来、8試合ぶり。

 ≪地元紙も一転絶賛≫厳しい論調だった地元紙も、手のひらを返したように松坂を絶賛した。特に前回登板後には「トレードすべき時期が来た」とまであおっていたボストン・グローブ紙は「松坂が変わった」との見出しで報道。「後がない状況で結果を出し、ブーイングまで起きた観客の見方を変えた」と伝えた。またボストン・ヘラルド紙は「前向きなダイスケ」とし、「1週間で修正し、力を示した」と報じた。

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2011年4月20日のニュース