福井、プロ初白星も「斎藤の方が持ってますね」

[ 2011年4月18日 06:00 ]

<広・巨>プロ初先発初勝利の福井はお立ち台で涙ぐむ

セ・リーグ 広島4-3巨人

(4月17日 マツダ)
 広島・福井はこみ上げてくるものを抑えられなかった。赤く染まった本拠地マツダスタジアムのお立ち台。スタンドを見上げると、声を詰まらせた。

 「きょう、来てくれていると思うのですが…。両親には…ありがとう、と伝えたいです」。目に浮かべた涙。紆余(うよ)曲折を経て手にしたプロ初白星。真っ先に口をついたのは感謝の言葉だった。

 逃げない心が勝利を呼んだ。同点の4回、高橋に左越えソロを浴びたが「これ以上は失点できない。それまで以上に気合が入った」と切り替えた。続く長野をフォーク、ライアルをカーブで連続三振。最速146キロの直球にスライダー、フォーク、カーブと持てる力は全て出し、味方の逆転劇につなげて7回6安打2失点。堂々のプロ初登板初先発初白星だった。

 愛媛・済美のエースとして、巨人から05年高校生ドラフトで4巡目指名を受けたが、評価の低さを理由に入団を拒否。1浪して早大に入学した。4年間を経てドラフト1位で広島入り。「巨人に成長した姿を見せたかった」と言い続けてきた福井は、因縁の相手からの白星に「見せられたかとは思いますが、まだまだ」と気を引き締めた。

 早大の同級生、日本ハム・斎藤と同日先発。前夜はメールで「2人で一緒に頑張ろう」と誓い合った。5回4失点の斎藤を内容では上回ったが、新人初勝利一番乗りは44分差で譲った。「試合が早く終わる分だけ、斎藤の方が持ってますね」とさわやかに笑った。

 「まだ1勝でシーズンも始まったばかり。1年間ローテーションを守る。そして勝てる、試合をつくれる投手になりたい」

 20年ぶり悲願の優勝へ。もう1人の「持ってる男」の力は欠かせない。

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