東野 故郷への祈り白球に…初の開幕投手へ気丈

[ 2011年4月12日 06:00 ]

投内連係を行う東野

 散った桜の花びらが舞うユーピーアールスタジアムの正面玄関。プロ7年目で自身初の開幕投手を務める東野は口元を引き締めた。11日、故郷の茨城県鉾田市が震度6弱の揺れに襲われた。「さっき聞きました。大丈夫だと思う」。自身にそう言い聞かせてから決意を口にした。

 「自分にとっての1試合目。緊張することはないと思う。いつも通りです。本当に順調で、やれることはやってきた。自分のピッチングをすればいい方向に行く」

 東日本大震災の影響で延期となった開幕。チームはこの日、山口県宇部市入りし、最終調整に専念するはずだった。だが、練習開始直前の5時16分、福島県浜通りを震源とする地震で地元が震度6弱を計測した。球団関係者が携帯電話で各方面に安否確認する一方で、東野は投内連係、ランニングと黙々とメニューをこなした。

 東野の心には故郷への祈りがある。プロ初勝利を挙げた08年、そのオフには初代「鉾田大使」に就任。鉾田市は3月11日の東日本大震災で震度6強に見舞われた。実家も家の中が散乱し、家族との無事はメールで確認するのがやっと。それでも直後の同14日には被災者支援試合の阪神戦(岐阜)で先発し6回2安打無失点。「僕の地元を含めて、多くの場所で家族が見つかっていない人も多い。一日も早い復興を願いながら、やれることをやっていく」と気丈に話した。

 過去2年、地方球場では4試合で2勝1敗。ユーピーアールスタジアムの傾斜の低いマウンドにも「大丈夫」と言い切った。ドラフト7巡目から開幕投手を勝ち取った右腕。被災地の思いを知る男が、2011年シーズンの第1球を投げ込む。

 ▼巨人・原監督 いろいろな困難の中で、開幕を迎えられる。野球人として高ぶる思いでいる。われわれのメンバーで新しい歴史をつくるんだと。目的は1つ。チームも一丸、結束して前に進むんだと、それだけで十分だと思う。

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2011年4月12日のニュース