吹っ切れたかな…星野楽天「やるしかない」

[ 2011年4月10日 06:00 ]

星野監督(左)に挨拶しながらQVCマリンフィールドでランニングを行う田中(右)ら楽天ナイン

 被災地の皆さんとともに――。楽天は9日、ロッテと4・12開幕戦を行うQVCマリンスタジアムで約3時間の全体練習を行った。星野仙一監督(64)率いるチームは8日、東日本大震災で被害を受けた宮城県内の避難所を訪れたばかり。球場独特の強風に見舞われながら、バスによる長距離移動の疲れも見せずに精力的に動き回った。開幕まであと2日。楽天ナインが、いよいよ開幕モードに突入した。

 練習は活気に満ち、掛け声が途切れることはなかった。元気あふれるナインを見守る星野監督は目を細めてこう言った。

 「多少吹っ切れたかな。それが俺の目的。みんなおかしかったから。俺は仙台に行ってよかったと思う」

 チームは7日、大阪から震災後初めて仙台に戻った。同日深夜に震度6強の余震に見舞われたが、翌8日は予定通り、支援活動のために避難所を回った。Kスタ宮城から最も離れた女川町を訪問した岩隈、鉄平主将らは往復7時間かけて被災者を激励した。そして休む間もなく午後7時前にバスで仙台を出発。休憩所に2度立ち寄ってチーム全員でストレッチで体もほぐすなどして約400キロ。千葉市内のホテルに到着したのは午前0時30分を回っていた。

 約5時間半の強行軍にも、疲れた様子を見せなかったナインに星野監督は「俺ら年寄りは背中が張ったとか言ってたけど、選手は何一つ愚痴を言わんかった。ホンマ大したもんや」と感心しきり。午後2時からの練習では霧雨が降り、最大瞬間風速16・8メートルの強風が吹き荒れて防球ネットが倒れるほどだったが「(2日前の地震は)あんなものやない。もっと凄かったぞ」と振り返った。

 選手は仙台に帰ったことで元気を取り戻した。そして被災球団としての使命感も増した。岩村は言う。「被災地の方の苦しみが伝わった中で練習した。被災者の方々が僕らのバックにいることも知ったし、力をもらった」。避難所で多くの人々に「今年は優勝してください」と激励された鉄平主将も「吹っ切れたとまではいかないけど、若干モヤモヤした状態はぬぐえました。みんな、よりこのシーズンの重みを感じたと思うし貯金して仙台に帰りたい。そして仙台の試合で勝ちます」とナインの気持ちを代弁した。

 胸に刻んだ被災地の爪痕。そして与えられた使命とは。星野楽天は勝つことで、東北に希望の灯をともし続ける。

 ◆楽天の被災地支援活動 7日に甲子園で練習後、空路山形に入り、バスで1時間以上かけて宮城入り。星野監督は到着後すぐに避難所となっている仙台市若林区の中学校を訪問した。翌8日は首脳陣、選手が4班に分かれて宮城県内5市町村の避難所などに足を運んだ。田中は嶋、青山ら9選手と東松島市の大曲小学校を訪れ、笑顔でサインや写真撮影に応じて交流を深めた。岩隈、鉄平ら9選手は女川町の避難所を訪問。キャッチボールやサインなどを行い、岩隈は全力プレーと多くの勝利を約束。各避難所を慰問したナインはKスタ宮城に再集合し、バス2台に分乗して千葉市内のホテルに移動した。

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