95年「希望」再び イチロー今年も打ち続ける

[ 2011年4月2日 06:00 ]

フリー打撃で汗を流すイチロー

 復興への祈りをバットに託す。マリナーズのイチロー外野手(37)は1日(日本時間2日)の開幕戦で、松井秀喜外野手(36)が所属するアスレチックスと対戦する。この日は最終調整を行い、練習後に神妙な表情で口を開いた。

 「あすが特別な日であることは変わりない。やらなきゃいけないと思うことはいつもと同じ。ただ、今年は別の思いも入ってくる年でもあるので、それは違うところではありますけど」

 報道陣から「違うものとは何か」と問われても「そこは察していただかないと」と話すにとどめた。震災について沈黙を貫いてきた男は、大リーグ史上初となる11度目の年間200安打を目指すシーズンを前に、日本に元気を届けるための特別な1年と位置付けた。

 95年オリックス時代に阪神大震災を経験した。だから簡単な言葉で激励などできない。義援金1億円を送った時もコメントしなかった。95年、イチローは最多安打、首位打者、盗塁王、打点王、MVPなどタイトルを総なめしてリーグ優勝の立役者となり、地元・神戸に希望の光をともした。今年もプレーで被災者にメッセージを伝える。

 気持ちの高ぶりとともに「不安ですよ。そんなことはコントロールできない」と本音も出た。しかし、フリー打撃では47スイング中で、半数近い20本の柵越え。重圧をモチベーションに変える力がイチローにはある。

 私服も「正装」だった。原色系のキャップをかぶっていたキャンプ中と違い、シックな黒の中折れハットで登場。公私ともにスイッチが入った。特別な1年が、松井との日本人対決で幕開けする。

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