新井会長ファン思い涙「12月になってもやり抜く」

[ 2011年3月25日 06:00 ]

会見中、目を潤ませて言葉につまる新井選手会会長

セ・リーグ4・12開幕決定

 魂の叫びが届き、願いは通じた。セ・パ同時開幕。日本プロ野球選手会の新井貴浩会長(34=阪神)の目は潤み、何度も言葉を詰まらせた。

 「まずは(東日本大震災の)大変な時期に、プロ野球の開幕問題でお騒がせしたことをおわび申し上げたいです」

 セ・リーグ臨時理事会の開幕再延期の決定を受けて広島市内で会見した新井会長は冒頭で深々と頭を下げた。ここまで混迷を深めたことは未曽有の災害に苦しむ人々の気持ちを考慮すれば、本意ではなかった。だからこそ、最初に謝罪の言葉が口をついた。その上で、こう続けた。

 「セ・パ両リーグの方に大変、大きな決断をしていただき感謝しています。一致団結してくれた。ファンの声、選手の声が届いたと思います」。ようやく、選手会が望んだ「英断」が下された。

 セが17日に3月25日の強行開幕を決めたことで、世論は反発。「選手会の声はファンの声」と信じ、新井は先頭に立ってNPB側に再考を訴え続けた。22日には文科省を訪れる重責も担った。同時に、一選手としてグラウンドにも立ち続けた。実直で、思い詰める性格でもあるだけに、眠れない日々が続いたことは想像に難くない。それでも、「被災者の方たちのことを考えたら、僕のことなんて何ともない」と多くを語らなかった。

 開幕日が当初から3週間近くずれ込むことで、開幕以降はタイトなスケジュールを強いられる。ただ、新井会長は追加の要望は出さない方針で、「144試合、クライマックス、日本シリーズを絶対にやり遂げます。それは(NPB側に)伝えていますし、12球団の選手会長に再確認した総意です」。野球協約上、12月1日から翌年1月31日までは参稼報酬期間に含まれないが、「万が一、12月になってもやり抜くということです」と、選手会の意思をあらためて強調した。

 ▽参稼期間 参稼報酬(年俸)支払いの対象となる稼働期間のことで、野球協約第87条の(1)に毎年2月1日から11月30日までの10カ月間と定められている。そのため選手は通常12月1日から1月31日の2カ月間は「オフシーズン」が保証されている。

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2011年3月25日のニュース