大館鳳鳴 友情応援背に“一生懸命”プレー見せた!

[ 2011年3月25日 06:00 ]

<大館鳳鳴・天理>アルプススタンドで大館鳳鳴を応援する篠山鳳鳴ナイン

第83回選抜高校野球  大館鳳鳴0―8天理

(3月24日 甲子園)
 東日本大震災の被害を受けた東北の3校の中で21世紀枠の大館鳳鳴高(秋田)が、先陣を切って登場。強豪・天理(奈良)に0―8で敗れ、被災地に白星を贈ることはできなかった。3回にミスが絡んで大量7失点。しかし、兵庫の友好提携校の友情応援などを背に、毎回走者を出すなど、春夏通じて初の甲子園で最後まであきらめない姿勢を見せた。

 絶対にあきらめない。大館鳳鳴が、持てるすべての力を振り絞って最後まで強豪・天理に食らいついた。9回2死一、二塁、遊飛に倒れて最後の打者となった小貫主将は「自分たちの力不足でした」と振り返ったが、「一生懸命プレーしたので、(被災者の方にも)たぶん伝わったのではないかと思う」と胸を張った。0―8の完敗も、球場全体が温かい拍手で選手を優しく包み込んだ。

 復興への願いを込めて「がんばろう!日本」のスローガンを掲げた今大会。劣勢に立たされても、下を向く選手はいない。先発した1メートル62の小柄な左腕・斉藤は3回に一挙7点を失ったが「ピンチの場面でも笑顔を忘れないようにした」という。5回の守りでは三遊間の強い当たりを三塁手の佐々木が横っ跳びで好捕。8点差に広がった8回は初の連打で1死一、三塁のチャンスをつくり、9回も無死一、二塁と粘った。初の甲子園で得点を刻むことはできなかったが、東北の代表として、被災地への思いを込めて全力プレーに徹した。

 秋田県内は大きな被害こそ出なかったが、各所で停電や断水が発生している。この日予定していた全校応援も震災の影響で中止。応援団の規模は当初の1割程度の約100人となったが、友好提携校の篠山(ささやま)鳳鳴(兵庫)の野球部員、生徒ら約160人が応援に駆けつけた。篠山鳳鳴の片山則昭校長は「みんなの力で東北全体を応援したかった」。地元関西の天理にも負けないアルプス席の声援はナインにも届いた。

 選手それぞれがさまざまな思いを背負ってのプレー。甲子園に向けて2月に合宿を行った福島県双葉郡楢葉町は、福島第1原子力発電所のある大熊町に隣接し、放射線の恐怖にさらされている。「球場の方にもお世話になった。そういう人たちにも感謝の気持ちを示したい」と話していた斉藤広樹監督は「いろんな動揺がある中、細かいところでは自分たちのプレーを出してくれた」とナインの健闘を称えた。

 甲子園から被災地へ。懸命に白球を追い続けたナインの熱い心は遠く離れた東北地方まで届いたはずだ。

 ▼大館鳳鳴・斉藤(3回7失点で降板)あそこまで振りが鋭いチームは初めて。甘い球を全部持っていかれた。ピンチの場面では笑顔を忘れないようにした。ひたむきなプレーを見せられたと思う。

 ≪秋田からも寝台列車で応援に!≫大館鳳鳴のアルプス席が大応援団で埋め尽くされた。08年夏の県大会準優勝時に主将だった板橋郁弥さん(20)は、秋田市内から寝台列車に乗って駆けつけた。自身はあと一歩で甲子園出場を逃しただけに「うらやましいですね。東北地方の代表としてよく頑張ってくれました」とナインをねぎらった。また、友情応援に駆けつけた篠山鳳鳴野球部の平井優也主将(3年)は「応援に来られない生徒の分まで応援しました」と話した。

続きを表示

この記事のフォト

2011年3月25日のニュース