斎藤、両親と連絡取れず…「言葉見つからない」

[ 2011年3月14日 06:00 ]

練習後、沈痛な表情を見せるブルワーズの斎藤隆

東日本大震災

 宮城県仙台市出身のブルワーズ・斎藤隆投手(41)は12日(日本時間13日)、東日本大震災発生後に初めて記者会見を行った。両親、夫人ら家族の安否は確認できているものの、両親とはいまだ直接連絡を取れない状態。親戚の一部や友人らは安否も未確認で、終始、沈痛な面持ちで胸中を語った。ショックの大きさから調整もままならず、心身ともに疲労はピークに達している。

 練習後のロッカー前での会見。斎藤は何度も声を詰まらせた。

 「メジャーリーガーとして数年やらせてもらってますけど、仙台で22年間育った。今は仙台生まれの人間として、適切な言葉が見つからない。(報道で)地名が出てくると、友達の顔がどんどん浮かんでくる」

 仙台に住む兄家族とはこの日の早朝にようやく電話がつながったが、東北地方の停電のため携帯電話の充電が切れ、わずか5分間。会話の間には余震もあったという。両親とはいまだに直接話せていない。

 地震発生後は日本との時差のため夜間に電話で安否確認と震災の情報収集に追われ、睡眠時間は平均2時間。横浜市内に住む妻子とは連絡を取り合っているが、「何が一番、今自分のやるべきことなのか思いつかない。(両親らも)生活ができる状況とは確認したが、軽々しく“大丈夫”とは言えない」と不安を募らせる。自らが日本に一時帰国するのか、余震など二次災害を憂慮して夫人と3人の娘を米国に呼び寄せるのか、家族に親族の受け入れを頼むのかなど、「考えても考えても答えが出ない。正直、何をどうしていいのか分からない」と苦悩の色をにじませた。

 開幕まで3週間、自身の調整にも大きな影響を及ぼしている。「正直、やれてないですね。状況が状況なので」とやつれた表情で明かした。12日の斎藤の全体練習への参加を免除したロン・レネキー監督は13日(日本時間14日)のロイヤルズ戦について「(斎藤の親戚らも含め)全員の安否が確認できたら登板する」とした上で、「私としては彼を一日中球場に居させたくない」との配慮から先発起用することを公表した。41歳、日本人大リーガー最年長の斎藤もまた眠れない日々が続いている。

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2011年3月14日のニュース