マー君、下克上開幕投手だ!SFFで4回無失点4K

[ 2011年2月27日 06:00 ]

<中・楽>4回を投げて2安打無失点に抑えた田中

オープン戦 楽天8―3中日

(2月26日 北谷)
 楽天・田中将大投手(22)が26日、中日とのオープン戦に先発して4回を2安打無失点に抑えた。今季初の対外試合で151キロをマークするなどいきなり実戦モードの右腕は、今季から決め球とするスプリット・フィンガード・ファストボール(SFF)で4奪三振。自身初の開幕投手へ向けて猛烈にアピールするとともに、星野仙一新監督(64)に、新天地でのオープン戦初勝利をプレゼントした。

 リリースポイントに力を込めた田中が声を上げた。味方の失策から招いた2回2死一、二塁のピンチ。2ストライクと追い込んだ大島を逃さなかった。外角へ3球勝負の直球。そして147キロの内角直球。いずれもわずかにコースを外れたが、力でねじ伏せにかかる姿は公式戦さながらだった。結果は遊ゴロで無失点。

 「抑えられてよかった。無失点というのが大きかった。いつも通り打者を抑える配球で、シーズンと同じように投げた」

 主力投手にとっては、シーズンに向けた調整と位置づけるオープン戦登板。昨季までの田中も試合ごとにテーマを掲げ、シーズンへの準備期間としていた。しかし今年は違う。4回2安打無失点。この時期から結果を求めたのは、自身初の開幕投手を見据えるからだ。

 直球は常時140キロ台半ば。3回の吉川への3球目にこの日最速の151キロなど150キロ台も3球計測した。奪った4つの空振り三振は、いずれも今季勝負球にするスプリットで奪った。直球と同じ軌道から鋭く落ちる新たな武器を、しっかり低めに制球できたことが順調な調整を物語っている。吉川を三振としたスプリットは142キロ。大半が140キロを超えた勝負球には星野監督も「よう落ちとった。あれは誰も打てんやろ」と感心したほどだった。

 入団当時からスライダー、フォークを勝負球にしていた。より失投を少なくするため、フォークよりも握りを浅くするスプリットを併用。そして今季は抜け球になりやすいフォークを封印してシーズンに臨む。「スプリットは直球と軌道が同じなので効果的。フォークより失投が少ないし、リスクを減らすため今季はフォークを使いません」。実際、今キャンプのブルペンでは1球もフォークを投げなかった。

 当初は予定になかった2月中のオープン戦登板を首脳陣に直訴した。その目は3月25日、ロッテとの開幕戦(Kスタ宮城)をにらんでいる。「もちろんそこを目指している。第一歩じゃないですか。あれだけ声を大にして言いましたからね」。久米島キャンプ早朝の声出し。「岩隈さんから開幕投手を奪います」の宣言をパフォーマンスで終わらせるつもりはない。

 開幕投手の本命は岩隈だが、田中の実績と意気込みが首脳陣の心を揺り動かしている。逆転開幕投手へ。周囲を納得させる投球で、その座を射止めてみせる。

 ▼楽天佐藤投手コーチ(田中について)打者によって3球勝負か、1球ボール球を見せるか判断してやっているんだろう。開幕戦は(岩隈と田中の)どっちが投げるか分からないけれど、しっかり調整してくれればいい。

 ▽スプリット・フィンガード・ファストボール(SFF) 70~80年代から米球界で普及し「現代の魔球」と呼ばれた。フォークボールと同じように人さし指と中指を広げて握るが、深く挟まずに浅く握るため球速もあり、直球に似た軌道から縦に小さく落ちる。巨人時代の桑田もプロ2年目の87年に投げ始め「サンダーボール」と命名。当時直球とカーブだけだった投球の幅を広げた。

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