イチロー 今季初実戦でいきなり2の2!

[ 2011年2月27日 06:00 ]

<マリナーズ・紅白戦>1回裏先頭の第1打席、左前打を放つイチロー

 マリナーズのイチロー外野手(37)が25日(日本時間26日)、今季初実戦となる紅白戦で2打数2安打、いきなりマルチ安打を記録した。初回に左前打を放つと、続く2回にも投手強襲内野安打。今キャンプはスイング数が減っていたが、試合前には超スローボール打ちでフォーム固め。第1打席の初球から連続ファウルするなど例年にない姿を見せ、11年連続シーズン200安打へ臨戦態勢を着々と整えている。

 5イニング限定の初実戦を2打席で切り上げたイチローは、今までになかった感覚を口にした。初実戦の初打席。初球から連続ファウル。かつてはキャンプ序盤での初球打ちに抵抗を感じてもいた。「(今年は)別にないね。(紅白戦は)初日からやってもいいかなって感じですよね」。3球目を上から強く叩き、三遊間を打球が抜ける。安打そのものより、ファーストストライクから手を出した2つのファウルにこそ変化が表れていた。

 広いストライクゾーンを持ち、積極的な打撃で知られるイチロー。だが、初球だけは別だ。まず見ることに主眼が置かれ、特にキャンプ中は「目で追うのではなく体で球を見る」が持論。結果以上に内容を重視するのは当然で、08年には実戦初安打に9試合27打席をも要し「あっ(野手の間を)抜いちゃった。ちょっと残念かな」と振り返ったこともある。

 加えて例年初実戦までには、相当数のスイングを必要としてきた。調整過程でマイナー2試合を掛け持ちし、1日で11打席立ったことも。そこに今季はエリク・ウェッジ新監督が就任し、練習メニューが大幅に変更。1日20スイングにも満たない日が続き「打撃練習の数が圧倒的に少ない」とも漏らしていた。

 それが初実戦から、いきなりチームただ1人のマルチ安打。「何を準備とするかによるけどね。これ(実戦)が一番最初の(準備)段階という考え方もあるからね。ゲームでしか、僕は(準備は)できないと思っているから」。08年には「嫌な緊張感」とまで話した初実戦の定義は、過去10年と明らかに違っていた。

 試合前の練習では室内ケージで50マイル(約80キロ)以下に設定された打撃マシンの超スローカーブを打ち込んだ。導入したクリス・チェンブリス打撃コーチは「重心を軸足に残し、しっかり球を見るバランス感覚を養うのが目的。速い球を見る練習とは逆に、ボールを待って捉えられる」と説明した。イチローも最初は空振りしたほど。志願して他の選手より多い55スイングと振り込み、フォームを固めた。早めの重心移動を抑え、ぎりぎりまで球を見極める。スイング量が不足しても、それを補うアイデアと10年間で培った経験値がある。

 「誰よりもいい準備をしている。だから彼は特別な選手なんだ」とウェッジ監督。11年連続シーズン200安打へあらためて「挑戦者」と位置付ける1年。1段上のステージから、イチローが実戦に入った。

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