“打たせた”8発…斎藤、精密機械ぶり発揮

[ 2011年2月11日 06:00 ]

フリー打撃で59球を投げた斎藤

 日本ハムのドラフト1位右腕・斎藤佑樹投手(22=早大)が10日、フリー打撃に初登板した。中田翔内野手(21)と糸井嘉男外野手(29)を相手に初めてプロの打者と対峙(たいじ)し、計59球。中田に7本、糸井に1本の本塁打を浴びたが、テンポの良い投球でストライク率は85%と「精密機械」ぶりを見せた。「打たせる」ことをテーマに投げたフリー打撃から一転、斎藤は実戦初登板となる13日韓国サムスン戦(名護)のマウンドで闘争心を解き放つ。

 打たれたのではない。打撃投手という役割に徹して打たせたのだ。だからこそ、斎藤は打球の行方を一度も振り返ることなく、マウンド上で悠然と笑顔すら浮かべた。

 「基本的に打たせた感じです。(打撃投手なので)打たれちゃいけないというのはない。きょうは5、6割の力で投げて、フォームのバランス、コントロールを注意した。凄く気持ち良かったです」

 充実の8分間だった。中田、糸井に各4分間の投球。登板前には「真ん中付近を目がけて投げる」と宣言。その言葉通りに全59球中、変化球はカーブ1球だけ。闘争心を抑え、直球をストライクゾーンに投げ込み、中田に7発、糸井には右翼場外弾をかっ飛ばされた。

 「プロで何年もやっている選手はさすがに凄い」。本塁打を浴びてもうれしそうな表情を浮かべ、4打数無安打3三振に抑えた06年夏の甲子園以来の再戦となった中田についても「今はチームメートとして見ているので。パワーが凄かったし、飛ばし方が違う。心強いですね」と話した。

 8発を浴びたが、斎藤は十分な意図を持って登板に臨んでいた。まずはストライクゾーンの確認。「アマよりも審判のストライクゾーンがボール1、2個狭い。“これがボール”と思うのも何球かあった」。そう振り返ったが、全59球中50球がストライク。投球を受けた中嶋兼任バッテリーコーチは「6割の力であれだけ低めに集められたのはバランスがいい証拠」と評した。

 制球以外でも精密機械ぶりを発揮した。最初に対戦した中田に29球を投じると、続く糸井には30球。ほぼ同球数だった。「あれだけ同じペースでポンポンと投げ込むにはスタミナがいる。同じ8分で投げた林よりも10球も多かった」と芝草投手コーチ。斎藤自身も、この日の狙いの一つに「早めに投げて自分の運動量に負荷をかけようとした」と打ち明けた。

 中継ぎで1イニングながら実戦初登板となる13日の韓国サムスン戦に向け、直球と変化球のコンビネーションの重要性も再確認した。「いい打者は大学にもいたが、パワーがあるのに外角を流して打つあたり、やっぱりプロだなと思った。外角直球の確率(精度)を高め、これからは変化球でどうカウントを取るかですね」。具体的な対戦シミュレーションも頭に描かれつつある。

 「慣れない人は(フリー打撃登板では)ストライクが入らないことが多い。そういう意味でもやっぱり実戦派だね」と梨田監督。まだ、ベールは脱がない。斎藤にとって、今はプロの投手としての感性を磨いていく過程なのだ。

 ▼日本ハム・吉井投手コーチ 一番良かったのは自分の目標としたストライクゾーンに投げるということを最後までやり通したこと。どんな当たりをされても打球を目で追ったりしなかった。そのへんが斎藤らしい。

 ≪恩師・応武氏「あいつらしい」≫斎藤のフリー打撃での投球を伝え聞いた早大前監督の応武篤良氏(52)は都内で取材に応じ、「あいつらしいですよ。大学のときも練習で打者に投げるときは、そうだった。抑えてやろうと思って投げてないはずですよ」と計8本の被弾にも想定内を強調した。大学時代の斎藤は、ブルペンではフォームチェックを重視し、打者に対して投げる際は「指のかかり」を確認していたという。

 また斎藤が7日にブルペンでダルビッシュの隣で投げた際、1度ブルペンから離れ、遠投後、再びブルペンに戻って投球した点についても解説。「あれはダルビッシュの投球を見て力が入るのを嫌って、いったん外したんだろうね」とプロでもマイペース調整を続ける教え子を頼もしく感じている様子。今キャンプ中も連絡を取り合っているという応武氏は「あの騒ぎにも全く動じていない」と愛弟子の精神力をあらためて評価していた。

 ▼阪神嶋田スコアラー テンポもいいし8、9割ぐらいストライクだった。あとはもっと力を入れるような実戦形式にならないと分からない。それにしても中田は凄いパワーだったね。

 ▼横浜松島スコアラー これだけ注目を浴びていると普通ならば制球が乱れそうだが、コントロールもテンポも良かった。13日のサムスン戦でまた見ますよ。

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