石川、新たな武器は宝刀生かす“第3のシンカー”

[ 2011年2月5日 11:03 ]

新たなシンカー習得に励む石川

 ヤクルト・石川雅規投手(31)が第3のシンカーで活路を開く。従来は110キロ前後、130キロ前後の2種類だったが、今キャンプからその中間速にあたる120キロ前後のシンカーを試投。石川の代名詞である遅いシンカー、そして130キロ台後半の直球を生かす新しい武器となる。

 1球1球握りを確認しながら、キャッチボールで試投を繰り返す。その正体は、石川が今キャンプで習得に励む第3のシンカーだ。

 「今ある2種類のうち、ちょうど中間ぐらいの球速。それぞれ握りも抜き方も違う。3種類として考えています」

 石川のシンカーには従来、球速110キロ前後と130キロ前後の2通りがある。他球団スコアラーがチェンジアップと評する遅いシンカーはやや浮き上がるようにしてから落ちるため、本人は「カーブに似た軌道」と説明する。130キロ前後で直球と同じ軌道を描く速いシンカーは右打者の打ち気を誘い、フォークに似た落差で落ちる。第3のシンカーはその中間にあたる120キロ前後。右打者の外角に逃げるシュートが沈むような変化で、スクリューボールに当たる形だ。

 新球導入は、石川の代名詞である遅いシンカーが理由だ。直球の球速は常時130キロ台後半だが、直球と同じ腕の振りで変化球を投げることができるため、遅いシンカーで内野ゴロを量産させてきた。しかし、プロ10年間で通算100勝まであと3勝と迫る中、伝家の宝刀への各打者のマークは年々きつくなる。球速で落差がある直球と遅いシンカーを打者が見切る危険性を防ぐため、第3のシンカーで打者が打席で考える攻略法の分母を増やすことが狙いだ。

 女房役の相川は「真っすぐやシュートよりちょっと抜ける感じ。内野ゴロを打たせるには最高の球」と手応えをにじませる。身長1メートル67の石川が第一線に立ち続ける理由は、まさに変化する力だった。

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