離島ハンデ克服!佐渡 21世紀枠で初選出!

[ 2011年1月29日 06:00 ]

センバツ出場が決まり、雪が積もったグラウンドで喜ぶ佐渡の選手

 第83回選抜高校野球大会(3月23日開幕、甲子園)の出場32校を決める選考委員会が28日、大阪市の毎日新聞大阪本社で開かれた。佐渡(新潟)が21世紀枠として、離島のハンデを克服し「人間力の向上」にも取り組んでいる点が評価されて選出。春夏通じて初の甲子園出場が決まった。同枠では城南(徳島)、大館鳳鳴(秋田)の計3校が選出され、いずれも春夏通じて初出場。組み合わせ抽選会は3月15日に行われる。

【出場校】

 離島のハンデを吹き飛ばした。21世紀枠でつかんだ春夏通じて初の甲子園切符。06年に就任した深井浩司監督は「何とも言えない。感謝の気持ちでいっぱい」と声を詰まらせた。

 【新潟・佐渡】午後3時1分。校長室で知らせを受けた村田慶朗校長は「満場一致で選抜の出場が決まった」と安どの笑みを浮かべた。校内放送で、生徒らに野球部の吉報が伝えられると歓声が上がった。

 創部は1963年。交通手段が制限される中、近年は積極的に島外に出て、強豪校と練習試合を重ね、チーム力を磨いた。08年夏は新潟大会準優勝。昨秋県大会で準優勝し、北信越大会にも初出場。離島というハンデをさまざまな努力で克服している取り組みが評価され、21世紀枠の北信越地区候補校に選ばれていた。

 03年に柏崎が21世紀枠で出場した当時の部長だった深井監督は、佐渡に赴任して驚いた。新潟港から佐渡の両津港までカーフェリーで約2時間半。週末を中心に新潟市内へ遠征するナインは午前3時半に起床し、同5時に集合していた。「遠征が県外なら分かる。でも、新潟市の学校でやるのに…」。海がシケれば、船も揺れる。「新潟に着いて第1試合だと、ゲームにならない時もありましたよ」と明かした。それでもナインは船の甲板で素振りし、船内ではストレッチに努めた。乗船と下船は必ず一番最後。他の乗船客に迷惑がかからないようにという配慮からだ。

 そして、つかんだ初の甲子園。仲川主将は「素直にうれしいという気持ちです。佐渡で生まれて佐渡で育った。ひたむきに野球をやる姿を見せたい」と言葉に力を込める。今冬は例年になく佐渡も雪が多い。グラウンド一面を雪が覆うが、いてつく寒さの中でダッシュやキャッチボール、ロングティーと普段通りのメニューをこなしてきた。

 朱鷺(とき)の里として有名な佐渡から甲子園へ。夢を実現した深井監督は「佐渡の子供たちにも甲子園の土を踏ませてやれると思ったら、こみ上げるものがありましたね」と感慨深げにしながらも「これからが本当の勝負」と切り替えた。部員43人全員が佐渡出身。朱鷺のごとく日本海を飛び越えて聖地に舞い降りる。

 ≪6万島民も沸いた!≫佐渡のセンバツ出場決定に、約6万人が住む島内も沸いた。学校がある佐和田地区では商店街のいたるところに「佐渡から甲子園」のポスターが張られていたが、さっそく「甲子園おめでとう!」と紙を出すお店も。「じーんときた。夢のようです」(50代女性)「甲子園では緊張するだろうけど、実力を発揮してほしい」(60代男性)など祝福の声が相次いだ。スポニチの号外も両津や佐和田地区などで1000部が配布され、野球部OB会の鈴木潔会長は号外を手に「これからが大変だけど、よかったです」と感激に浸っていた。

 ◇新潟県立佐渡高等学校 1896年(明29)創立。2004年(平16)に佐渡女子を統合した。校訓は自主・自律、求真・窮理、協調・責任、誠実・感謝。野球部は1963年(昭38)創部。08年夏の県大会で準優勝。昨秋に北信越大会へ初めて駒を進めた。佐渡市石田567。

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