涌井66%勝利!調停で3300万円増認められる

[ 2011年1月29日 06:00 ]

<西武・涌井年俸調停委員会>会見で和解の経緯を話す堀内委員(左端)(中は熊崎委員長、右は石塚委員)

 エースの主張が66%認められた。調停委員会(熊崎勝彦委員長=コミッショナー顧問)は28日、西武との契約交渉が難航していた涌井秀章投手(24)の今季年俸を2億5300万円とすると発表。東京・内幸町の日本野球機構(NPB)事務局で球団、涌井側の双方へ調停額を通達した。昨季年俸から3300万円増は、球団提示額と涌井の希望額の差の66%。調停委はエースとして年間通じての評価を求める涌井の主張を支持した。

 空欄の統一契約書に書き込まれた金額は2億5300万円だった。計20時間を超す審議の末の結論を、堀内恒夫委員(前巨人監督)は実に明確な表現で説明した。

 「(球団提示額と涌井の希望額の)間の数字から見てもらえば、どちらのプラス要素が多いか分かると思います」

 調停で明らかになった昨季年俸は2億2000万円。球団の現状維持に対し、申請書で3億円を求めた涌井は21日のヒアリングで2億7000万円に下げた。両者の差額は5000万円。調停委が妥当とした3300万円増(15%増)は両者の差額の66%に当たる。つまり66対34で涌井の主張が認められたわけだ。

 最大の争点は昨季の14勝をどう見るか。涌井は1年間通じた評価と5年連続2桁勝利の実績を主張。球団はV逸に直結した終盤戦の不振を現状維持とする根拠に挙げたが、堀内委員は「これは違う」とした。前半戦の10勝(3敗)がなければ優勝争いできなかったと指摘。優勝争いが集客にもつながり、松坂や西口ら過去のエースの成績も考慮した上で熊崎委員長も「1年間の集積で優勝が決まる。開幕の1勝も終盤の1勝も同じ。年俸は年間の成績への対価という基本概念を大事にすべき」と続けた。

 満額に届かなくても66%の勝利。涌井は代理人を通じ「自分の思いを伝えられ、調停申請してよかった。今後の投手陣の評価や査定にいい影響が与えられたらいい」。今季の年俸2億5300万円(プラス出来高2000万円)で、100%のエースを目指す。

 ▼加藤良三コミッショナー 2月1日のキャンプ開始前に調停結果が出たことは球団側、涌井選手側の双方にとって良かったと思う。調査結果、および内容につきましては、調停委員会の裁定が最終のものであり、そのようなものとして受け止めている。

 ▼石塚久委員(弁護士) 堀内委員の野球の広い識見が参考になった。いかに適正、妥当な額をはじき出すか難しかったが、自分で言うのも何だが名調停だと思う。

 ▼西武飯田則昭球団専務 球団としては調停結果を真摯(しんし)に受け止めて報酬を改定したい。査定については今後も適正にという根っこの部分は変わりありません。

 ▼涌井の代理人大友良治弁護士 現状維持の根拠に合理性を欠くと判断したが、調停を申請して良かった。涌井選手の主張は(調停委に)理解してもらえたと思う。

 ▽年俸調停 野球協約の第94~96条に規定されており、正確には参稼報酬調停という。次年度の契約が合意に達しない場合、コミッショナーに調停を求める申請書を提出できる。受理されれば熊崎勝彦コミッショナー顧問を委員長とする調査委員会(石塚久弁護士、堀内恒夫前巨人監督との計3人)が構成され、選手と球団から希望額とその根拠を聴取し、申請を受理した日から30日以内に調停額を決定する。

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