ベストナイン受賞…的場「コンプレックス」克服

[ 2010年12月17日 06:00 ]

ミス日本グランプリ・林史乃さん(左)、ミス日本ネイチャー・鈴木幸子さん(右)に囲まれ笑顔で乾杯するトヨタ自動車・的場(左から2人目)とヤマハ・佐藤

 2010年度社会人野球表彰(主催・日本野球連盟、共催・スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社、協賛・シチズン時計)の授賞式が16日、東京・千代田区のKKRホテル東京で行われた。ベストナインは一塁手部門で元阪神の的場寛一内野手(33)が、二塁手部門で元ヤクルトの佐藤二朗内野手(30)の元プロコンビがともに初受賞。また今年から新設された個人賞が4選手に贈られた。

 阪神を退団してから5年。的場が久しぶりにスポットライトを浴びた。社会人野球の個人タイトルとしては、最高の栄誉であるベストナインを初受賞。野球人生で2度目の花を咲かせた。
 「今は元プロという気持ちは一切抜きにプレーしてます。一社会人として名誉ある賞を頂いて感謝の言葉しか浮かびません」
 99年ドラフトで阪神に逆指名で入団。将来を嘱望されたが肩や膝など度重なる故障に泣き、05年に戦力外通告を受けた。翌年、トヨタ自動車に入社したが「プロを辞めた直後は、やっぱり一緒にやっていた選手が出ているのを見ると…」とプロの試合をテレビで見るのに抵抗があった。
 それでも必死に汗を流す同僚の姿を見ているうちに、そんな思いは消えていった。「元プロということで後ろ指を指されないように常に謙虚に」。今では阪神時代の監督で来季から楽天の指揮を執る星野監督についての報道などを「こんなコメント言いそうやな、変わってないな」と楽しんで見られるようになったという。
 今季は16試合で5本塁打と規定打席に達した社会人選手の中で最多本塁打を放った。来季以降も主砲としての期待は高い。「なるべく長い間、野球をやりたい」。まだトヨタ自動車に対する恩返しは終わっていない。これからも元プロとしてではなく、一野球人として高みを目指す。

 ◆的場 寛一(まとば・かんいち)1977年(昭52)6月17日、兵庫県生まれの33歳。弥富から九州共立大に進み、3年時にはIBAFのワールドカップ日本代表入り。4年時には明治神宮大会で優勝した。99年に逆指名で阪神に入団。プロ6年間で通算24試合で打率・143だった。06年からトヨタ自動車でプレー。1メートル80、75キロ。右投げ右打ち。

 <05年にはノムさんに特別賞>元プロで過去に社会人ベストナインを受賞したのは、02年の元オリックス・丸尾(松下電器=現パナソニック)、05年の元阪神・梶原(同)以来。また05年には元阪神監督でシダックスを03年に都市対抗準優勝に導いた野村克也氏に特別賞が贈られた。

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2010年12月17日のニュース